肺炎を患ってから2ヶ月後の8月、いよいよ射出成形1級技能検定の実技試験の日が来た。
毎日参考書を読み、イメージトレーニングを続け、講習会にも出席し、自分なりに万全の態勢で試験会場へ向かった。
試験会場は電車を乗り継ぎ、1時間以上かかる専門大学…
少し早めに着いた僕は、試験場を下見、試験で使う成形機は、僕の会社とは違うメーカーの物、基本操作のマニュアルをもらってはいるが、会社の機械よりもずっと最新型で、ボタンが多く、覚えるのが大変だった。
検定試験は、成形機の関係で、2人だけで行われた。
試験には、試験官である検定員と、僕の補助をしてくれる補助員が1名がついてくれた。
気になる試験内容は、成形機に金型を取り付け、取り付けた金型に冷却水用のホース取り付け、異なる2種類の樹脂で、成形品を各40個作り、再び金型を外し、最初の状態に戻すという物だった。
これを3時間以内に行い、1分過ぎるごとに1点減点され、30分オーバーで失格になるのだ。
そして試験スタート。
金型をチェーンブロック(金型を吊るす機械)に取り付け、金型を成形機に取り付ける。
落ちては危険なので、クランクと呼ばれる道具でしっかりと固定。
そして金型を冷却する為の水を通す為のホースの取り付け…
この水路がちょっと複雑で、かなり手間取ってしまい、試験官にも注意されてしまう…
冷却水用のホースを取り付けたら、冷却機にスイッチを入れ、水を通し水温の調整も行う。
金型に通す水の温度もちゃんと調整しないと、出来た成形品に不良が出るのだ。
そして型締力調整。
これは金型から作られる成形品の面積から適切な型締力を計算しないと、これまた不良が出来てしまうのだ。
計算して出した型締力を入力して調整。
続いては、加熱筒(プラスチックを溶かして射出する部分)内の樹脂替え。
加熱筒の中には最初、PE(ポリエチレン)という樹脂が入っている。
これを試験用の樹脂PS(ポリスチレン)に切り替えないといけない。
大量に射出を繰り返し、切り替え完了。
そして機械設定をし、成形品を40個生産する…
しかし、樹脂の切り替えの時、慣れない機械と緊張から、切り替えが不十分になり、作った成形品はPEが僅かに残る物が出来てしまった。
僕はかなりテンパったが、時間もないので、次の樹脂PC(ポリカーボネート)への切り替えに移った。
同じプラスチックでも材質が違うと設定方法も全く違う。
PCはPSよりも溶ける温度も100度ほど高い。
そういう所も注意しながら、こちらも40個成形した。
気になる時間の方は、もうすぐ3時間が経ってしまう!
僕は大急ぎで最初の状態に戻すため、PCからPEに樹脂を切り替えた。
そして冷却水用のホースを外し、金型を外し元の場所へ…
時間は既に15分オーバー!
最後に作った成形品の寸法を測り、金型と実製品の収縮率を計算、その他にも色々計算があり、それを書き込んで、試験官に作業終了を告げて試験終了。
結局、23分オーバーで試験を終えた。
失格ギリギリで終えて、ちょっと落ち込んだが、同じく試験を受けていたもう一人は、僕よりさらに5分近くオーバーしていた。
「やっぱり時間内で終えるのって、なかなか難しいんだな…」
こうして実技の技能検定は終わったのだ…
続く…
初めて挑んだ実技試験は、納得が行く出来ではありませんでした…
あがり症で本番に弱いタイプなので、色々と失敗ばかりでした。
ドラマとかと違い、うまくいかない所が、実話の悲しい所です…
ちなみに今日の記事は、射出成形の技能士を目指す人には、とても参考になると思います。
…果たして読者さんでいるのかな?
次回は、技能検定の学科試験と試験結果の話を書きたいと思います。
皆さんの訪問待ってます!
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