過去の記事：

「（最終回）」というタイトルがやるせない。

愛用してきたTechnics SL-Q303（レコード・プレーヤー）が、先週、故障した。悲しい。その最期について書いておくことは、故人の尊厳を重んじる立場としては、ごく当然のことと思われる。

このプレーヤーへの思いについては、上記の3つの記事で振り返るとして、とにかく、「別れ」は突然にやってきた。

深夜、レコードを聴こうと、マニュアルで操作してカートリッジをLPの外周部に落としたところ、しばらく再生してすぐに、アームが元の場所に戻ってしまった。

そして、以後、ずっと行ったり戻ったりを繰り返すようになってしまった。オートがまったく利かないのであれば、手動でやればいいのだが、この望まぬ「リピート機能」が止まらないのでは、どうにも手の施しようがない。電源を切るまで、ターンテーブルがずっと回りっぱなしなのだ。

自分で修理するしかないわけだが、今回は少しやってみて、早々に諦めてしまった。回転の力をフルオート機構の動力にして（いわばからくり人形のシカケのように）動いているこのプレーヤーを、自分の未熟な知識だけで完治させる自信は、まったくなかったのだ。

昨日たまたま観たドラマで、萬田久子が泉谷しげるに言っていた。曰く、「歳をとったら諦めなくていい、なんていうのは年寄りの驕りだ。人はみんな諦めて人生を送ってきた（子育ても就職も）。人は死ぬまで、諦めながら生きていくものだ」と。

ドラマでは、高齢ドライバーの泉谷に車を乗るのを諦めよ、と言っていたのであった。

所詮、家電は壊れるもの。だから保証は１年までなのである。

僕も諦めることにした。1981年（昭和56年）に製造された個体だったので、今年まで実に42年間、ずっと働いてきたマシーンである。敢えて、大往生、ということばを使わせていただきたい。

いままで音楽をありがとう。

Technics SL-Q303（最終回）