NHK-FM「クラシックの庭」

「チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番」
初回放送日:2025年4月3日
案内:田添菜穂子

 

 

チャイコフスキー:

ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
アルカディ・ヴォロドス(ピアノ)

小澤征爾 指揮

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

(2003,SONY)

 

 

「クラシックの庭」は、良い演奏を教えてくれる良い番組だ。FM放送の鑑といってもいい。

 

田添菜穂子氏には悪いが、いつものように「Apple Music」に切り替えて聞き直す。こちらの方が圧縮ネットラジオより数段音が良いので感動する。

 

この演奏は未聴であったが、ずっと聴きたいと思っていた演奏だった。初っ端から緊張感が高く、それがずっと最後まで維持された。聴く側に姿勢を正して聴くことをさせる、実に求道的な音楽となっていた。有体に云ってスゴイ演奏。

 

スピード感と重厚感からくる緊張。ベルリン・フィルの音が圧倒的なのはもちろんのこと、ソリストがオケと指揮者を煽っている様子が伝わってくる。そして、それに応える“平常運転”の名門・重厚オケ。第2楽章冒頭のフルートなんて、聴きながら笑ってしまったよ。ここだけでお金が取れる。

 

指揮者の追従性は、もはや名人芸である。「さすがセイジ・オザワ!」と声を上げたくなった。

 

先日のマゼールの《英雄の生涯》のレコードの時も思ったが、SONY(CBS/SONY)は、オケを近めのマイクでものすごくゴージャスに録る。グラモフォン風のマルチマイクな感じとはまた違って、スタジオ録音(文字通りのスタジオでの録音)のような「作られた感」を(敢えて?)演出しているように感じる。

 

嫌いじゃない。

 

むしろ、こういう録音を懐かしく聴く余裕が、いまの僕にはある。アバドのシカゴ響(チャイコフスキー全集)とか、マゼールのウィーン・フィル(マーラー全集)、バレンボイムのベルリン・フィル(幻想)などなど。

 

いやあ、やはりFM放送は良い演奏の宝庫だ。願はくは、Apple Musicに切り替えなくても聴き続けていられる「クオリティー」でオンエアしてほしいものだ。

 

いまの技術で、なんとかならんのかいな。