SONOR Sonic PLUS 14×6 inch.
先月の初めごろだったと思うが、ヤフオクを、だらーっと見ていて、並品の中古スネアが目に留まった。上位機種じゃないしヴィンテージでもないけど、ソナーだから高値がつくんだろうなと思いながらも、純粋な願いを込めて開始価格で入札しておいたら、最終日に、なんと落札できてしまった。
ヤフオク「あるある」だ。
シェル・カラーが黒だったから見栄えはいまいち。だから、C万円を超えなかったのだろうと思われる。それにしても安い。
送料を2,000円も取るっていうから、最初から直接引き取りに行くつもりで入札していた。地下鉄で30分ほどの距離だ。
まだ残暑の残る時期、暇つぶしに空のスネア・ケースを抱えて出品者の元へ行ってきた。そして、現物を見て気づいた(遅い)。ソナーのドラム・キーを持っていないことを。こいつは角頭ボルトでなく、ソナー独自のマイナス・キー仕様なのだ。
すぐ横浜のイシバシ楽器に電話したら、1本在庫があって、親切にも取り置きしておいてくれた。イシバシさん、最高!
帰りにヘッドとともに無事調達。つい先週、レストア(というほどのものではないが)とヘッド交換を済ませることができた。
以下は、或る楽器収集家とドイツ製スネアの感動の記録である。(「プロジェクトX」風に)
分解してシェルの深さを計ってみたら6インチだった。出品商品説明には5.5インチとあったが、どう見ても標準シェルと思えなかったので計ってみたら、6.5ではなく6.0だった。
ラグやストレイナーやバットを外して、メッキ部分をひたすらごしごし。結構めんどくさいが、これが仕上がりにとても影響するから時間をかける。
強力な味方。100均のオレンジ・クレンザーである。内容量は、一生のうちに使い果たせないほど入っている。楽器用研磨剤なんて高すぎて買えないやね。オレンジの芳香も癒し効果あり!
効果てきめん。布につけて触るぐらいの圧力でこの輝き。
ストレイナーは樹脂部分が多いタイプ。スネア・レバーを上げたときのノイズ(カチッという金属同士が触れる音)を防止するためのクッションが劣化していた(古いスネアではよくある)ので、交換。
といっても部品がないので、近所のコーナンさん(ホームセンター)で12㎜幅の「溝ゴム」というのを10cmだけ切り売りしてもらった。29円(笑)。コーナンさん、最高! 余りがあるから次のスネアにも活かせそう。
両面テープでうまく接着できた。もちろん、ストレーナーのメカ部分もクリーニング&注油してある。とてもスムーズに動くようになった。SONORはさすが基礎設計が良い。
パーツを外すには、プラス・ドライバーではだめで、この「星形」レンチが必要。工具箱にあったのでラッキー。「T20」という規格が、このスネアにぴったりだった。
ネット情報によると当機はバーチ・シェルということだが、何か他の安い木材と張り合わせてあるようにも見える。6プライでシェル厚は7mmぐらいだ。「コマキ通商」のシールがあるので正規輸入品だったようだ。
裏ヘッドから張る。裏はいつものようにアンバサダー・スネア。当機はシングル・ラグで表と裏のテンション・ボルトを両方受けるタイプなので、最初は超緩く締めておく。ちなみにテンション数は8つだから、ちょっと楽。
シェルもフープも仕上げは、いつもの「YAMAHA ピアノ・ユニコン」を塗布しておく。中身は普通のシリコン剤だから何にも使えて、これを一本買っておくとたいへん便利だ。
ストレイナーを取り付け。やっぱりシェルはバーチと何かとのハイブリッドのような気がする。やわらかそうな木だ。ベアリング・エッジは45度ぐらいだろうか。
ヘッドの取り付け前には、エッジにロウを塗る。高級なものはもったいないから、子供のバースデー・ケーキに付いてきた蝋燭を活用。十分である。
ソナーのボルトは太い。国産メーカーのワッシャーがボルトを通らなかった。今回はワッシャーが調達できず、交換はなし。先端にほんのちょっと「YAMAHA パーカッション・オイル」を付けて組む。
スナッピーはそのまま使えそう。20本でブランド名なし。よくある台湾あたりのOEM製品かもしれない。スネア・テープはさすがに劣化していたので、カノウプス製の布テープに換装。
表ヘッドはコーテッド・アンバサダー(非JP仕様)。安いし、ミュートの掛け方やチューニングでどうにでもなるので、これが一番。
完成。シェル色がウッドっぽかったら、もっとよかった。
近くの公園へ持ち出し、試奏。外で演奏するのは愉しいね。音の方は、いたって普通のウッド・スネア。あまりに普通すぎて、懐かしい気分にもなる。
西暦2000年ごろに買った、パールのクラシック・メイプルが近いかな。クラシック・メイプルは、フープを1.6mmに換えて叩くと、とても広がりのある音だった。Sonic PLUSも、細かい音をよく拾う。
当然、パワーはない。「塊」ではなく、音の「流れ」のようなものが楽器から放出される。8テンションというのも悪くない。少人数の吹奏楽なら、他の楽器を邪魔しないで、フル・ショットできそうだ。ヘッドのチューニング・ピッチは高い方が、相性が良さそう。低くしても、あまり個性が出ない感じがする(やってないけど)。
さて、何に使おうか。
11月に演奏する機会がありそうである。実演後、また感想を書きたいと思う。
MADE IN GERMANY……。
部屋に置いといて、眺めているだけでもテンション上がるかも。