親心 | ことばのチカラLite

親心

 母親の表情がいつもに増して厳しい。父親はいつものとおり黙々と酒を飲んでいる。私は状況もわからず困り果て、楽しい雰囲気に持っていこうといろいろと当たり障りのない話題を提供するが一向に功を奏さない。

 昨夜帰宅途中実家に寄り、両親を夕食に誘った。東京に戻っても出張が多くあまり東京にいなかったせいもあり、期待されたほど実家に立ち寄らなかったことに不満があるらしい。

 『親思ふ心にまさる親心きょうの音づれなんと聞くらむ』
明治維新の立役者を輩出した松下村塾の主、吉田松陰が親に先立つ無念を詠った辞世の句である。
 いつの世でも自分以外の人間で自分の幸せを願っているのは親であることに変わりはないようだ。

 「もし自分に残された命がきょう一日限りだとしたら何をする?」と問うと『両親への感謝』を表明したいという人が多い。
 感謝を態度で表明するためには時間が必要だ。しかし時間が許されているときというのは「いつでもできるだろう」と思い、一日延ばしにしてしまう。今年はそんなことも少しやっていきたい
      『親孝行、したいときには親はなし』(詠み人不知)