親友 | ことばのチカラLite

親友

 「ブルルルル」、「ブルルルル」。13時を回った頃にマナーモードにしてあった携帯電話がコートの中で元気よく震えた。「やぁ、元気?」声の主は名古屋にいたときに交流のあった取引先のK氏だった。私はこの7月に東京に転勤してきたわけだが、そのときのあいさつ回りで誇張ではなく唯一、涙を滝のごとく流してくれた親友である。

 彼とは実は去年3月に知り合ったばかりで実質的に付き合いがあったのは賞味4ヶ月だけだったが、不思議と初めて会ったときから10年来の友人のような感覚を互いに持っていた。
 今日もいつ名古屋に戻ってくるのか、どうすればいいのか?と埒の明かない、たわいもない会話に終始した。

 東京では小中学生の頃、「友達調査」というのを体験した人もいるのではないだろうか?紙片を渡されそれに自分のもっとも親しい友人を3名書くという単純な調査だが、これが残酷なのだ。たいてい自分が一番親しいとして書いた相手の一番が自分ではない。場合によっては3人の中にも入っていないことすらある。

 親友というものは付き合った時間が長ければいいというものではなく、また利害関係のない学生のうちにしかできないというものでもない。
 社会人となってからでも、価値観が共鳴すれば自然と惹かれあう。むしろ自分の価値観が確立してからのほうがよりたやすく真の友に巡り会えるのではないだろうか。