『モノを頼むときは忙しい人に頼め』 | ことばのチカラLite

『モノを頼むときは忙しい人に頼め』

 仕事はデキル人に集中する。デキル人はいつも忙しい。また時間管理を心得ている。そして急いでいる人の気持ちが判るので内容を理解して誠実に対応してくれる。

 かく言う私の帰りがいつも遅いのは仕事自体が遅く時間管理ができていないためであるが、締め切りに間に合わなければ仕事の意味はなくなってしまう。だから私は時間内にできそうもないなと思ったら早めにあきらめ、人に頼むことにしている。そこでいつも不思議な発見があるのだ。
 こちらから見ていつもヒマそうな人に頼むとき。たいてい受けてくれない。「忙しい」そうだ。また、わかりましたと言ったきり進捗がない。できたものは期待はずれで、結局自分でやり直さなければならない。
 頼むのに気が引けてしまうくらい忙しい人に頼むとき、まずレスポンスが早い。自分ができないときはそれをできる人に振ってくれ、その人が解決してくれる。そして驚くべきことにクオリティが高く自分でやる以上の成果を出してくれる。
なぜだろう?一つには有能な人は完璧を目指さない。満点レベルの仕事を一つやる間に合格レベルの仕事を八つから十こなしてしまうのだ。もう一つには個人的に自分が依頼できる職人のネットワークを持っている。公私両面であえて貸し借りを作り自分の世界に巻き込んでしまう。自分がやるのではなく、貸しを作っている有能な職人に委任するのがうまいのだ。

 『忙しい』とは心を亡くすと書く。急いでいるときにはとかく目の前の仕事から片付けたくなる衝動に駆られる。確かに集中力を最大限に高めて片っ端から鬼のような形相で片付けていけば間に合うかもしれない。しかしそんなことをしなくてもこのことを知っていればもっと楽に片付けられる。『計画に全体の10%の時間を費やすと全体の時間を20%から30%近く節約できる』という真理だ。やるべき順序を計画し、やらなくていいことを計画すると意外に見通しが明るくなる。

 ホワイトカラーの仕事が増えてきたが、頭の中で起きていることは中々外からは見えにくい。工場の生産性が上がっているかどうかはそのアウトプットで見ることができる。聖書では果実を見ればその木の本質がわかると説いている。
 『モノを頼むときは忙しい人に頼め』。頼むべき「忙しい人」とは心を亡くしている人のことではなく、計画するゆとりを持ち、依頼する人の立場を理解し、委任する人をいたわる心を持つ人のことである。