数駅の間、人混みの閉塞感を我慢し、目的地の駅に到着した。この駅のホームも乗客でごった返しているが、電車内に比べると数段開放的だ。俺は足早に改札を出て、目的の百貨店に向かった。

さすがに街中はクリスマスムード一色だ。恋人がいないまま12月を迎えた年は、この雰囲気を疎ましく思ったこともあるが、妻と知り合って以来、この浮ついた雰囲気も嫌いじゃない。さらにアンナと知り合ってからは、より楽しく思える。

目的の百貨店に到着し、1階エントランス付近のフロアマップで玩具売り場を確認し、エスカレーターで上階へ移動する。途中アクセサリー売り場を通過する時、エスカレーター上から売り場を見回すと、若いカップルや、彼女へのクリスマスプレゼントを探しているであろう男性など、非常に賑わっていた。

それを見て、やはり俺ももっとプレゼントらしいプレゼントにするべきかと、若干不安を覚えた。ただ、既にアンナには【おもちゃ程度】のものと伝えているのだ。今さら変更しても、彼女に気を遣わせるだけだ。

玩具売り場に到着し、ぬいぐるみの陳列台を見回すと、最上段にお目当ての子犬のぬいぐるみが並んでいた。うちにあるのと同サイズだが、あえて色違いの白いぬいぐるみを手にとった。アンナにはこっちのほうが喜んでもらえそうだ。