田舎の静かな街外れに佇む古びた神社。その木々のざわめきが、まるで過去の声を語りかけるようだった。住人たちはその神社を避け、日が暮れるとささやかな灯りを灯し、妖怪や幽霊の話を口にする。

ある晩、若い男女が神社を訪れた。二人は興奮気味で、神社の奥深くに隠された秘密を知っているかのようだった。彼らは月明かりに照らされた社殿で手を繋ぎ、静かに語り始めた。

「ここには昔、恋人同士の悲劇があったんだよ」と女性がつぶやいた。

男性は続けた。「彼らはこの神社で愛を誓い合った。しかし、家族の反対に遭い、二人は別れざるを得なかった。彼らはここで最後に会った後、二度と会うことはなかった。」

夜が更けるにつれ、二人の語りが怪しくなっていった。すると、神社の中庭でかすかな影が揺れるのが見えた。二人は驚き声を上げ、手を離し、逃げ出そうとした。

しかし、足元の影が急に伸び、彼らを引き止めた。振り返ると、古びた木の枝が生きているように伸び、二人を閉じ込めようとしているようだった。女性の叫び声が夜空に響き渡る中、二人は神社に飲み込まれていった。

その後、住人たちはその神社を封印し、人々はその場所を避けるようになった。だが、月夜になると、二人の声が風にのって聞こえると言われている。恋人たちの悲劇が神社に刻まれ、それが未だに語り継がれているのだろうか。