ハードボイルドなら大沢
私の中では、そんな感じ
北方も「擬態」はよかったが
それ以外は、歴史物の方がいい
大沢は、文章が簡潔
そのため、展開が早い
かなり、ご都合主義と思えるところも多いが
むしろテンポ作りのためと思うことにして
今回の作品は、犯人殺しで警察を追われた刑事
次々と暴力団の子弟を殺す殺人犯を追いつめていく話
あり得ない……
けど、面白い
彼の、ハードボイルド小説は、特徴として
物語の導入部で
釣り、料理などを、かなり詳細に、具体的に書き込む
これが、フィクションに現実味を持たせる手法なのだろう
話の展開は、早い
どんどん突き進む
犯人は、キャリア夫婦の息子
ほう、そうきたか
でも、いくら公安の存在が見えにくいとはいえ
素直に納得できる内容ではない
子供のおいたを諫めるため
それだけたくさんの血が流されるなど
さすがに、リアリティなさすぎ
最後に
その違和感を払拭してくれることを願う(‐^▽^‐)
ところで、嘘は、どこに存在するのだろう
私は、嘘は、たぶん、嘘をつく人間の中だけに存在すると思う
嘘をつかれる人間の存在など、はなから意識していない
当然、自己完結なので、罪の意識もない
相手を意識していないのだから、罪の存在しようがない
嘘は罪
それは、他者を意識しない暴挙だから
自分以外の他者の存在を意識しないことから生じる
他者を軽んずる意識
極め付きは他者の命などどうでもいいという所まで到達する可能性
だから、嘘は罪
この小説の中
嘘をつかないのは、主人公の西野だけ
それは、失うものがないこと
嘘を付く以上に自分の存在に罪の意識があるからだ
知っている事実を黙り込むことは、彼にとって、嘘をつくことではない
だから、どんなに嘘くさい話でも、話が展開するし
読み進めたいという意識に駆られる
この本の主旨
それは
「嘘は罪」
ラスト、西野は死ぬ
最悪の展開
だが、むしろ救われた感じがする
それは、彼が死の痛々しさから解放されたからだろう
読んでいて、同化することの出来ない主人公であったが
あの痛みは辛かった(T▽T;)
55点
