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京都ぶらり散策

京都が好きで年に数回訪問します。歴史と文化を感じられるこの街が好きです。

六地蔵めぐりをしていた時に、六地蔵にある大善寺を参拝しましたが、近くについでに行くべき史跡などないかなと調べたら、藤原道長など藤原一族の陵墓が近くにあることが分かりました

 

JR奈良線の駅でいうと、六地蔵駅のひとつ先にある木幡駅が最寄りです

 

藤原一族の中でも、天皇家と親戚関係になった人たちが中心で、そのため、皇族の陵墓のひとつとなります

 

なので、今は宮内庁が管理している陵墓です

 

「宇治陵」と総称されていますが、一か所ではなく、この辺りにいくつも点在しているんです

 

住宅や畑が開発されて、かつての陵墓がなくなってしまったりしているようで、たまたま残っているものに「宇治陵○号墳」と機械的に番号を振っています

 

番号が振られている陵墓は、37号墓まであります

 

そしてどれが誰の墓かは、定かでないという曖昧な状態です

 

木幡駅の近くに、1号陵があり、ここが総拝所という代表格の位置づけになっています

 

行ってみると、きれいに整備されていて、鳥居や説明板がきちんとあります

 

宮内庁の事務所(下の写真の左側)もあって、中で職員が仕事をされていました

 

 

 

「宇治陵」に誰が埋葬されているかですが、まず藤原氏の男性でいうと

 

藤原冬嗣、基経、時平、道長、頼通 というそうそうたるメンバーが名を連ねます

 

藤原家から入内した中宮などの女性では、大河ドラマ「光る君へ」にも登場している人たちもいるんです

 

例えば、

 

藤原詮子(あきこ):道長の姉、円融天皇の女御、一条天皇の母、「光る君へ」では吉田羊さん

 

藤原彰子(あきこ):道長の長女、一条天皇の皇后、「光る君へ」では見上愛さん

 

藤原遵子(のぶこ):藤原公任の姉、円融天皇の皇后、「光る君へ」では中村静香さん

 

などなど

 

総拝所から10分ほど歩いた住宅街の中に、藤原道長、頼道の陵墓と思われる32号墳、33号墳が並んでありました

 

しかし現地では、表に「宇治陵 宮内庁」、裏に「三十二」などの番号が記された石標があるだけで、それ以上の説明板はありませんでした

 

石標の先に進むと、扉があって施錠されています

 

こちらが道長の陵墓と考えられる32号墳の扉

 

中は盛り土して小高くなっているところもあり、お墓らしくは見えます

 

こちらが頼道の陵墓と考えられる33号墳の扉

すぐ隣は民家が建っています

 

これらの墳墓を管理する菩提寺として、浄妙寺というお寺を道長は建立しましたが、今は存在しません

 

近くの木幡小学校の敷地内にあったようで、「藤原道長建立浄妙寺跡」の立札が建っています

 

この辺り、史跡としてもう少し整備されることを期待したいところです

「嵯峨釈迦堂」こと清凉寺には、これまで何回か来ていますが、その境内にある嵯峨薬師寺は、まったく気づかずスルーしていました

 

清凉寺のお堂のひとつのようにしか見えないのですが、清凉寺の塔頭寺院の位置づけだそうです

 

 

ふだんは非公開ですが、年に一度だけ8月24日(10時~15時)に公開されるということで、参拝しました

 

なぜ8月24日に公開されるのかというと、地蔵盆だからです

 

ということは、地蔵菩薩が祀られているということですが、それが生六道地蔵菩薩像です

 

片足をあげた半跏像という珍しいお地蔵さんです

 

ちなみにこの公開日は、お堂の中の仏像はすべて写真撮影OKです

 

このお地蔵さまは、小野篁の作と伝わっているんです

 

つまり六地蔵と同じなんですね

 

上の写真の向かって左側に、小さな小野篁像が安置されています

 

小野篁というと、夜になると六道珍皇寺の井戸から冥土へ出かけて閻魔大王を手伝っていた伝説があります

 

朝になってこの世に戻ってくる時には嵯峨の福正寺の井戸を使っていたというのですが、その福正寺が今の嵯峨薬師寺なんです(明治時代に合併されたそうです)

 

生六道地蔵菩薩像は、福正寺から引き継いだ仏像ということです

 

ただ残念なのが、福正寺にあった井戸は今は残っていないということ

 

 

嵯峨薬師寺の地蔵盆の見どころとしては、生御膳(なまごぜん)と呼ばれるお供えがあります

 

7種類の野菜を使って帆掛け舟の形にしたものが、生六道地蔵菩薩像に対して供えられます

 

 

かぼちゃやナスが船、湯葉が帆になっています

 

 

お堂の中央には、ご本尊の薬師如来像が厨子の中に安置されています

 

この薬師如来像は、平安時代に疫病が流行った際に、嵯峨天皇が空海に対して疫病退散のために薬師如来像を刻むように命じて作らせたものと伝わります

 

 

 

他に、恵心僧都(源信)作と伝わる阿弥陀三尊像もあります

 

 

恵心僧都(源信)が清凉寺に籠って祈願をした際に、紫雲の中より船に乗った阿弥陀三尊が現れて観音勢至菩薩が櫓(ろ)や櫂(かい)で雲の波を漕いで西の空へと去って行かれるのを見ることができたそうです

 

その時の姿が仏像として刻まれています

 

こちらは嵯峨天皇像

 

堂内が写真撮影OKな上に、拝観は無料です

 

 

暑いので拝観後に、清凉寺境内にオープンしたカフェ「ヴァガバァーン/Bhagavan」で冷たいわらび餅を頂き休憩しました よだれ

 

口の中でとろけるわらび餅ではなく、ナイフとフォークで切りながら食べるという珍しいものでした

 

ほうじ茶が氷で冷やす容器に入っていて、いつまでも冷たくて、涼めました

8月24日に化野念仏寺千灯供養に行って来ました

 

化野念仏寺は嵯峨鳥居本と呼ばれる地域にあります

 

嵐山の喧騒を離れて、とても静かに過ごせるエリアで、好きです

 

化野(あだしの)は、古来から風葬の地となっている土地で、一帯には石仏が散らばっていたのを、明治になって8千体もの無縁仏の石塔・石仏が集められて、西院(さい)の河原として祀るようになりました

 

その西院(さい)の河原で8月最終の土日に無縁仏の精霊を供養するために灯明を燈す行事が、千灯供養です

 

大人は行事協力維持料として1000円で入場し、ろうそくをもらいます

 

18時開始ですが、17時30分から入場受付が始まり境内に入れました

 

境内は、苔と石仏が広がり、別世界のようです

 

 

まだ明るい時間帯の西院(さい)の河原です

 

紅葉の季節だと、こんな感じに色づきます(2016年秋に初めて来た時の写真)

 

18時になると、鐘が鳴らされ、本殿で法要が始まりました

 

その後に、僧侶らが西院(さい)の河原に移動し、いよいよろうそくに火を灯します

 

 

読経が響く中、お寺の関係者だけでなく、一般の参拝者もろうそくに一本ずつ火を点けて手を合わせます

 

風が吹くと火が消えてしまうので、多くのろうそくに火が燈るまでには時間を要します

 

 

 

暗くなると共に、ろうそくの灯りの数も増えてきました

 

今は無縁仏とされていますが、何代も前に遡れば、自分のご先祖様に当たる人がここで眠っているかも知れません

 

 

 

 

 

外国人観光客も多くいらっしゃいました

 

こういう行事のこともちゃんとチェックして来ているのですから、凄いことです

 

嵯峨鳥居本の道沿いでは、「愛宕古道街道灯し」として、手作りの行灯が燈されていました

 

千灯供養への来訪者を迎え入れるためのものだそうです

 

 

子どもたちの手作り感がいっぱいの行灯です

 

京都の夏の終わりを告げる地蔵盆の時期に合わせて、再び上洛しました

 

六地蔵めぐり、六斎念仏、千灯供養などの行事が行われます

 

今回は、8月22日~23日の六地蔵めぐりについてご紹介です

 

六地蔵めぐりというのは、京の都の旧街道にある6つの入り口にあるお地蔵さんを順に巡り、家内安全、無病息災を祈願するというもの

 

 

平安時代の公卿 小野篁が病気で生死の境を彷徨っていたとき、地獄に落とされて苦しむ人々を救う地蔵菩薩と出会います

 

病から蘇った小野篁は、6体の地蔵菩薩を彫り上げ、現在の六地蔵の地に奉納しました

 

平安時代後期に、平清盛が都の出入り口となる六つの場所にお堂を建てさせ、小野篁が彫った地蔵菩薩をそれぞれのお堂に祀りました

 

これが六地蔵の起源です

 

 

2日間かけて余裕をもって廻りました

 

次のようなスケジュールです

 

8月22日午後

 徳林庵 (山科地蔵)
 大善寺 (伏見地蔵)
 上善寺 (鞍馬口地蔵) 20時~六斎念仏奉納

8月23日午前~午後

 浄禅寺 (鳥羽地蔵)
 桂地蔵寺(桂地蔵)
 源光寺 (常盤地蔵)

 

まず徳林庵(山科地蔵)からスタートしました

 

山科駅から歩いて10分ほどです

 

 

お地蔵さまは地蔵堂に祀られています

 

思ったよりも大きかったです

 

お幡という紙の御札を授与してもらいます(300円)

 

色がお寺によって異なりますが、徳林庵(山科地蔵)は青です

 

 

次は六地蔵が最初にまとまって安置されたことから六地蔵という地名になった大善寺に向かいます

 

六地蔵駅までは電車で移動できます

 

 

ここも地蔵堂にお地蔵さまが安置されています

 

少しコンパクトに見えます

 

とてもきれいなお顔です

 

 

お寺によって違いがありますが、昨年に授与された古いお旗はこうして縄に括りつけて回収されていました

 

 

この後で近くにある宇治陵を見学したのと、上善寺で20時から六斎念仏の奉納が予定されているので、夜になってから上善寺(鞍馬口地蔵)に向かいました

 

六地蔵めぐりはどこも22時まで対応されているので、涼しい夜になってから巡るのもいいと思います

 

 

地下鉄の鞍馬口駅から歩けるし、街中にあるので、ここも便利です

 

 

夜に照明が当たると、黄金色に輝いて見えます

 

その優しいお姿から姉子地蔵とも呼ばれます

 

お地蔵さんの手から伸びる五色の綱に、前年のお幡を括りつけていました

 

そしてここでは、20時から六斎念仏が奉納されました

 

こちらでは、小山郷六斎念仏です

 

 

 

そして翌8月23日は4つ目の浄禅寺(鳥羽地蔵)からスタートです

 

バスで向かいましたが、地蔵前という停留所で降りれば、すぐ目の前にあります

 

浄禅寺は、六地蔵以外に遠藤盛遠の袈裟御前への恋物語で有名なところで、通称は恋塚浄禅寺と呼ばれます

 

 

とてもきれいに着飾ったお地蔵様です

 

袈裟御前の首を埋めた恋塚と伝わるのは、こちらの五輪塔のようです

 

 

5つ目は、桂地蔵寺(桂地蔵)です

 

行きはバスで向かいましたが、桂川を渡ったところに中村軒があるので、途中下車して一服しました

 

朝から汗だくになっているので、柚のかき氷でクールダウンします照れ

 

 

さらにスタミナ補給で麦代餅も食べちゃいました  お餅がボリュームあります

 

 

桂地蔵寺ですが、6つのうちでここだけが地蔵菩薩をご本尊として祀っています

 

そのため、地蔵堂ではなく、本堂にお地蔵様がいらっしゃいます

 

こちらも真っ白なお顔にきれいに着飾ったお地蔵様です

 

 

最後の源光寺(常盤地蔵)には、嵐電で移動しました

 

嵐電常盤駅から歩いて3分ほどです

 

 

ここの地名の常盤は、常盤御前(源義経の母)の生まれた場所でもあるそうで、お寺には常盤御前のお墓もあります

 

さあ、これで六地蔵めぐり、コンプリートですお祝い

 

6枚のお幡は、括って家の出入り口などにお守りとして飾っておくと良いそうです

 

今回めぐった6つのお寺で、これまで行ったことがあったのは上善寺のみで、他は初めてでした

 

六地蔵めぐりの日は、ふだんは観られないお地蔵様が開帳されて最も賑わう特別な日なので、とても貴重な機会でした

上野の東京国立博物館で開催中の「神護寺―空海と真言密教のはじまり」展を観に行って来ました

 

今年が神護寺創建1200年、空海生誕1250年という節目であることを記念しての特別展です

 

 

ホンモノの神護寺は2回行ったことがあり、5月のゴールデンウィークに行われる宝物虫払い行事にも行きました

 

なので、伝 源頼朝像の肖像画や灌頂暦名(かんじょうれきみょう)などの国宝は観ているんですが、未だに観たことのない宝物がいろいろありました

 

例えば、多宝塔に安置されている「五大虚空蔵菩薩坐像」は年に2回、5、10月に数日間御開帳されるだけなので、観たことありませんでした

 

太子堂にある「板彫弘法大師像」(重要文化財)は11月1~7日のみ公開なので、これも観たことありませんでした

 

それらの宝物が、今回の展覧会ではまとまって東京に来ているんです

 

さらにすごいのが、ご本尊の「薬師如来立像」(国宝)までが来ちゃってます(冒頭のポスターの仏像)

 

寺外に出ての公開は初めてだそうです

 

ご本尊まで持ってきちゃって大丈夫なんでしょうか?びっくり

 

今の神護寺は、ほとんどすっからかんです

 

そして本展の目玉は、230年ぶりに修理された「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」(国宝)が公開されていること

 

修理されてだいぶ描かれている仏さまが見えるようになったとはいうものの、正直ぱっと見には真っ黒です

 

それでも平安時代に作られた4m四方もある巨大な曼荼羅を今観ることが出来るということがとても有難いことです

 

博物館で鑑賞する仏像は、たいがい360度ぐるっと回って鑑賞できます

 

「五大虚空蔵菩薩坐像」は、中央に1体、その周りに4体の仏像を配置するという特別な展示で、その周りをまわって観ることができます

 

ここでは完全に美術品として鑑賞することになるのですが、やっぱりお寺で拝む対象として観ると、また違って見えてくるので、現地でもう一度観たいと思いました照れ

 

「板彫弘法大師像」も現地で薄暗い中で観た方が絶対に有難みを感じられる気がしました

 

博物館では、明るく照らされ、細かなところまで全部丸見えになっちゃいます

 

展示品はほとんど写真撮影NGなので、残念ながら写真はありません

 

こちらは、唯一写真撮影OKだった《二天王立像》です

長い階段を昇った神護寺の山門でお迎えしてくれる仏像です

《二天王立像》 平安時代・12 世紀