角島灯台

 

 

 

 

 

 


現在の灯台のレンズは、その大きさによって第一等から第六等まであります。
第一等レンズは焦点距離920mm、高さが2590mmにもなる、とても大きなレンズです。
その第一等レンズを搭載する灯台が第一等灯台です。
日本には下記の5基の第一等灯台が残っています。

・犬吠埼灯台(千葉県)
・経ヶ岬灯台(京都府)
・室戸岬灯台(高知県)
・出雲日御碕灯台(島根県)
・角島灯台(山口県)

私は今年の5月に経ヶ岬と室戸岬を訪れ、第一等灯台では残すところ角島灯台だけとなっていました。
8月のお盆に鳥取の親戚を訪問することになっていたため、思い切って角島灯台まで足を延ばすことにしました。

貴重な石造りの塔です。
国内では角島灯台と男木島灯台だけです。

 

 

 


着いた時には日没が迫っていました。

 

 

 

 

 

 


点灯直後です。

 

 

 


室戸岬灯台の第一等二面閃光レンズは迫力を感じますが、八面閃光フレネルレンズは優雅さを感じさせます。

 

 

 


多方向に閃光を照射する、角島灯台ならではの光芒です。

 

 

 


灯台の下から延びる強い光は、照射灯の光線です。

 

 

 


雲が無ければ、満天の星空が写ったはず...
また撮影に来よう!

 

 

 

 


角島灯台はリチャード・ヘンリー・ブラントンが日本において最後に設計した灯台で、1876年(明治9年)3月1日に初点灯しました。
レンズは第一等八面閃光フレネルレンズで、灯質は単閃白色5秒に1閃光、光達距離は18.5海里(34Km)です。
燈光会によるとレンズは『1874年イギリス製』(注2)、第七管区の角島灯台の紹介では『イギリスのエジンバラ、D&Tスチブンス社製』(注2)となっています。
・注1 http://www.tokokai.org/archive/data/tuno.html
・注2 http://www.kaiho.mlit.go.jp/07kanku/tomonokai/waiwai7/waiwai16/images/tsunosima.PDF


実はこの点について疑問があります。
同時期には下記の灯台に、同型の第一等八面閃光レンズが導入されています。

・犬吠埼灯台の初代レンズ フランス/ソーター・ハレー社
・御前埼灯台の初代レンズ フランス/ソーター・ハレー社
・美保関灯台の初代レンズ フランス/ソーター・ハレー社

すべてソーター・ハレー社で、角島灯台だけがイギリス製と言うことになります。本当だろうか?
それとイギリスの灯台史を知っている人にとって、『D&Tスチブンス』と言うのは、ロバート・スチーブンソンの息子であるデビットとトーマスの事であると容易に想像がつきます。
彼らは『ノーザン・ライトハウス・ボート』に所属していました。またブラントンの上司でもあります。
ノーザン・ライトハウス・ボートはスコットランドのエジンバラに本部を置く、スコットランドとマン島の航路標識管理組織です。(現在の日本における海上保安庁交通部の役割です)
そのデビットとトーマスが会社を運営していた事実は確認できていません。
おそらく灯台のレンズメーカーに対して直接発注をしていたのはデビットかトーマスと思われます。
レンズにはそのメーカーの刻印のほか、発注した人物や商社などの刻印が入れられる場合があります。
したがって『D&Tスチブンス』はメーカーではなく、発注元ではないかと考えています。
もしもイギリス製だとしたら、チャンス・ブラザーズ社である可能性が高いです。

明治時代に建設・点灯した灯台は、その多くが地震や台風などの災害、太平洋戦争時の攻撃により破壊されてしまいました。
建設当初のオリジナルのレンズが、現在もそのままの姿で稼働しているのは大変貴重です。
角島灯台はAランクの保存灯台に指定されています。
100年後にも、現在と同じ閃光を見せてくれていることを祈りたいと思います。


では、また。