サカナクション『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』 レビュー 「years」 変拍子 ピアノ | A Flood of Music

『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』 / サカナクション

いよいよ発売となったサカナクション待望のニューシングル
『『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』』…インパクト大のタイトル
昔やや流行った気がする長タイトル、B'zとか大黒摩季的な


そんな余談はさておき
まずはyoutubeの公式ch(VictorMusicChannel)から
『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』のMVを埋め込み

これは、必見





…はい、MVも相当なインパクトで
初めて観た時はニヤニヤが止まらなかったというか、普通に吹くレベルでしたw
某生理用品のCMかと


まぁこのようにMVも面白いんですが、曲にも凄まじいセンスが垣間見えます
ということで、レビューしていきますね



01. 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』


思わず指でビートを刻みたくなるような軽快な四つ打ちに
透明度の高い女性の声が重なるセクシーなイントロでスタート

タイトルがそのまま歌詞として登場し
山口君のアンニュイなボーカルが乗って静かにA→Bメロと展開します


そして2度目のAメロから、この曲が一気に色付き始めます
山口ボーカルに沿って重なる厚いコーラス、圧巻です

スローモーションや目が明く藍色にもコーラスワークが光るパートがありますが
両曲とも曲中のクライマックスを際立たせるための使用という感じでしたが
このバッハ~はもうコーラスが曲の要になってますね


コーラスが重なったAメロ2→Bメロ2が終わって、サビへ
サビでは山口ボーカルのみに戻り
切ないけれどキャッチーなメロに、山口君らしい文学的な歌詞が鮮やか

バックで細かく左右に暴れるザキオカのシンセが超ツボです
ネイティブダンサーのラストサビで鳴ってるような
これぞサカナクションサウンド

草刈姉さんのベースも中々挑発的で素敵


そして唐突にピアノのみのパートが登場
サビでの音の爆発(=動)から、一気に静へ引きずり込まれる緊張感
堪りません

MUSICA(Vol.51)で読んだのですが
ここのピアノは、有名なフレーズからのインスパイアだそうです
詳しくはMUSICAを買って読んでくださいな


2番からは更にキックが厚くなって、ベースも心地好く響き
いよいよ身体が疼いて踊り出したくなるビートに

ここもザキオカのシンセがツボなんですが
2番のバックが中華風な旋律になるのもサカナらしいと思ってます
YES NOとかアイデンティティとかね


2番サビでまたがらっと曲の色に変化が
今度はコーラスワークがサビに及んで
ブリブリうねりまくるサウンドの浸食でエレクトロ色強めに
このサウンドとコーラスのギャップが何とも言えない汽空域だと思います


ラストサビ前に一音だけピアノが入り、はっとした頭に最後の大爆発

1番サビでも聴けたザキオカの超ツボシンセに加えて
今度は↑の音より更に外側までパンする音や
奥の方でキラキラしてる氷のような印象の音も加わって、賑やかに

最終的にはダンスナンバーになってるなぁと
キックだけじゃなくて鳴ってる全ての音に対して乗ると気持ち良いです




02. years


ボォーッ…とした妙な音と物憂げなギターの悲しいイントロでスタート

変拍子だ、4分の5拍子
薄布の比喩表現が巧くて素敵


そして静かで胸が締め付けられるようなサビヘ
さり気無いけど、3拍子にシフト


逆再生のようなゾワゾワする音を挟んで
技巧派なサウンドが光る2番へ

力強いドラムと、所々細切れになるピアノがツボです
このパートだけで、自分内でのこの曲への評価はグンと上がりました


そして今度はすぐサビには入らず、そのままやや長めの間奏へ
色んなシンセ音や環境音?が重なる音に浸る時間


一瞬のミュートを挟み
ダンサブルなキックが入ったサビへ
1番とは印象が異なり、胸を締め付けられながらも前進する感じ
薄布の帆船に乗った2人はどこへ向かうのでしょうか




03. ライトダンス YSST Remix 2011


Remixed by まりん(砂原良徳) ということで
まさに俺得リミックスなのでこれも楽しみにしてました


もっと原曲をぶち壊してくるかと思ったけど
ボーカルや音は加工した上でライトダンス全体をドーンと使っているから
曲展開はさほど変わらず、ギターソロはのってきて弄ったのが分かるけどw


しかし端々にまりんサウンドが鏤められていて聴いてて楽しかったです
神様のいうとおりの時みたいな綺麗な音が多いけどね
『liminal』の流れからいって、もっと暗めの音で攻めてくるかと予想してた
といってもこのRemixの方がそれより前って可能性もあるけれど




CD-Extra. Lyric-motion


CD-Extraには、Lyric-motionとして
モノクロでサウンドもない、ドイツの街をただ歩く
だけどバッハ~の歌詞が所々に登場する洒落乙な映像が入ってました



アートワーク


毎回アートワークにも凝っているサカナクションですが
今回も歌詞カード面白い形式で入ってました

まずバッハ~ですが、1ページ毎に歌詞が2行ずつ(スタンザごと?)書かれており
その横に1コマずつ展開するというか、次に繋がる絵が載っているという形式

聴きながら律義に1ページずつめくっていったんですが
2番のサビのところで出たコマが「REMEMBER」で
サウンドと歌詞と相俟ってゾクっとしました

そしてyearsの歌詞がないぞ?と思っていたら、シールで封された別紙があって
シールをはがして開くと、山口君からの手紙みたいな感じで手書きの歌詞が
なかなか凝った趣向ですね




以上です!



いやー今回もさすが期待を裏切らないどころか
期待以上のセンスでもって斬新な曲を提供してくれましたね


複数の音楽雑誌のインタビューを読んでいるので
バッハ~の歌詞がどういうことだとか、バッハ~とyearsの関係だとか
どういう経緯でこの2曲が生まれたかだとか、本当は色々知っているんですが
それをここで書いてしまってはダメだと思うので
主にサウンド・アレンジ面からのレビューとなりました、とても主観的ですが



そして今日サカナクションMステに出るんですよね!
残念ながら観れないんですが、色んな意味で反応が楽しみですw



では、長くなりましたがレビューでした