とげまる / スピッツ | A Flood of Music

とげまる / スピッツ

待ちに待って楽しみ過ぎて死ぬかと思った
スピッツの3年ぶりの新アルバム『とげまる』
Amazonお得意のフライング発送で届いていたので早速聴きました

め、名盤!!!最近レビューの度に名盤って言ってる気がしますが
『とげまる』に関してはもう"超"が付く名盤だと思いました
スピッツのアルバムの中でもかなりいいんじゃないでしょうか


1曲ずつレビューする前に小ネタから処理

今回のジャケット写真…丘に立つ女性の周りに蝋燭がたくさん置いてある
なんとも幻想的なジャケ写ですが…thanks to のところの名前を見たら
Candle JUNE=キャンドル・ジュン、広末の旦那のワークだったのかw
配置のアトランダムさは流石職人だと思いました

そして歌詞カードの匂い、『三日月ロック』のと同じだねw
杏仁っぽいというか
福山雅治の『桜坂』の歌詞カードも同じ匂いしてたと思う



ではレビュー


01. ビギナー

    デジタルシングルでも先行販売され、ゆうちょ銀行のCMでお馴染み
    ↑のときにレビューしたので詳しくは書きませんが
    アルバムの1曲目を飾るに相応しい楽曲ですね
    最初の歌詞がとても印象的ですが
    ネガティブに始まるのがこのアルバムのキーだと思います
    
    スピッツのアルバムの1曲目といえば軽めの曲が多いですが
    『三日月ロック』以降は1曲目でもがっつりした曲を置いてきますね
    ビギナー はリリース希望が殺到したため
    急遽『シロクマ/ビギナー』でのリリースになったと聞きましたが
    本来アルバム曲だったってことだよね
    もし先に聴いていなかったら、 夜を駆ける 並の衝撃曲だったと思う


    ビギナー(の気持ちで)が決意を固めて、歩き出す。


02. 探検隊

    先行試聴のとき「いちばん印象が薄い」とか言ってすいませんでした!
    手数の多い演奏と大サビがめちゃくちゃいいじゃないですか
    この曲はスピッツセルフプロデュース(亀田さん抜き)のため
    昔のスピッツのサウンドが好きな人は気に入ると思います

    マサムネ「ONE PIECEっぽい」とか言ってましたが
    そんな感じの歌詞ですね
    仮タイトルは ピカプカ探検隊 だったそうですが
    その"ピカプカ"も大サビで登場してました
    8823 での"トロピコ"を彷彿させます


    新たな気持ちでの旅立ちから、探検へ出発。きっと仲間もいる。


03. シロクマ

    メナードのCMで流れている最新シングルです
    これもシングルのときにレビューしたので詳細は割愛しますが
    このコンパクトながらも泣きの美メロって曲は
    『さざなみCD』の 桃 のポジションかなと思った


    探検の途中で、ひとつの極に到着。君のことを思い出した。


04. 恋する凡人

    ライブver.はシングル『つぐみ』で先に収録されていました
    この曲に関してもそのときにレビューしたので詳しくはそちらで
    ただこちらはスタジオ録音なのでがむしゃらさは減ったかな
    ライブバージョンの力強いほうが好みですねー

    この曲も ビギナー と同じで、ここで初めて聴く曲だったら
    かなり衝撃を受けていたと思います
    疾走感のあるメロディもいいけど、それよりも歌詞が素晴らしいよね
    陳腐な言葉を使わずにここまで恋の只管さを描けるのは、凄い
    男なら解るだろうと思う

    歌詞カードの最後の文字が掠れている演出も、ニクいね


    ただ只管、君の為。


05. つぐみ

    シングル曲で既にレビューしましたが
    大したこと書いてなかったので改めてここで

    サビに"愛してる"というと、名曲 チェリー を思い出しますが
    この つぐみ も詞の内容はかなりラブソングしてます
    でもよく歌詞に注目していくと
    歳を重ねたマサムネだからこそ書ける内容だとわかりますよね
    若いころに比べたらあまり後がない、だからこそ…という感じです

    デビューシングルの『ヒバリのこころ』を思わせるフレーズもあって
    スピッツらしさが溢れていますよね

    正直シングルのときは、あまりぱっとしない曲だなと思ってたのですが
    (c/wの恋する凡人のライブver.が良かったから余計に)
    アルバムで化けたと思います
    いや、僕がようやくこの曲の良さに気付けたって感じかな


    ようやく君の前に到着。言わなくちゃ。


06. 新月

    先行試聴で最も期待していた曲
    期待通り…というか期待以上でした、鳥肌

    繰り返しの美しいピアノから壮大に始まって
    歌が始まるまで約1分…スピッツにしてはかなり長い
    このイントロで新月、月の無い夜が頭に飛び込んできます

    小刻みなドラムに幻想的なボーカルが乗って
    また奏で始めるピアノに美しく上昇するメロディ
    …すごい、陶酔感のある演奏です

    しかしなんといってもこの曲は詩人としての草野マサムネが凄い
    難しい言葉を使わずこの世界観を出せることに驚愕
    特に2番サビと最後のサビの歌詞
    感動を通り越して怖いとさえ思いました、畏怖というべきか

    甘い手 や ガーベラ に似たタイプの曲なので
    これらが好きな人にはおすすめです


    予想外の失望。だけど生まれ変わるしかない。君に会うために。


07. 花の写真

    この曲もシングル『つぐみ』のc/wです
    簡単なレビューはそちらで

    新月 の幻想的な世界観から、カントリー調の落差がたまりませんが
    こちらは現実感のある歌詞ゆえに
    君との距離も縮まっているような気がします
    新月 は精神的な距離 花の写真 は物理的な距離のような気がします


    思い出の中の君には、こうして会える。


08. 幻のドラゴン

    ブリヂストンのCMソングですが、関東圏ではまだ流れてないような

    このアルバムでいちばんポップと言ってもいい曲
    しかしキャッチーなメロディに反して演奏が格好良すぎる!
    Na・de・Na・de ボーイ に近いイントロも好きだし
    間奏のギターソロと踏み締めるようなバックリズムがツボ


    物理的な距離なら、ドラゴンになって飛んで行こう。


09. TRABANT

    珍しく英語タイトルの曲
    ちなみにTRABANTとはドイツ製の車の名前です
    単語の意味は「衛星」「仲間」だそうです(wikipediaより)

    「9mmっぽい」だとか「LUNA SEAっぽい」とか言ってた気がしますが
    まさにそんな感じの昭和歌謡ロック
    これは、新しいスピッツ
    敢えて例えるなら 点と点 に近いけど

    歌謡なAメロとキャッチーなサビのギャップが面白い
    そして大サビの演奏の激しさやギターソロがいい
    …というか全体的にギターの格好良さが迸ってる

    歌詞も凄味があるというか、ダークなマサムネ節
    特に2番はよくそんな歌詞が書けるなと思う、脱帽


    今すぐ君に会いたくても、現実はそうは簡単じゃない。準備だけしている。


10. 聞かせてよ

    ぼんやりとしたイントロから始まる優しい曲
    Aメロがちょっと 魚 に似ている気がする

    サビの段々上昇していって最後で緩やかに下降するメロディ
    思わず泣きそうになる旋律ですね

    詞のシンプルさや雰囲気から 恋のはじまり に近いかなと
    似てるというか、そのポジションという感じ

    ベースが凄く素敵なメロディを奏でていて心地好い


    君の声だけでも、僕は蘇る。


11. えにし

    ヤマザキのランチパックのCMで何度も耳にする曲
    
    なんだろう…このキャッチーなメロディだけの曲なのに
    泣きたくなるような感じがするのは
    
    歌詞のせいかな
    サビの歌詞は僕にも思い当たる節があってグッときます
    こんなことを打ち明けられた日には落ちるでしょうw

    この曲で出てくる"伝説"は、TRABANT で出てくるそれと同じかな?
    恋する凡人 と共通するようなフレーズも潜んでますね

    演奏面では、これぞまさに実力派の安定したバンド演奏という感じ
    ギターソロがいいですね


    君と会えた縁があっただけで、よかった。


12. 若葉

    映画『櫻の園』の主題歌

    元からこの曲はかなり好きなシングルでしたが
    アルバムで聴いてもいいですね

    特に詞の内容が頭から最後まで今の自分にぴったりで
    思い出補正もかかり涙腺崩壊

    メロディも歌詞も
    音楽の教科書に載ってもいいレベルの良い曲だと思います
    サビの最後が歌うには少し難しいかもですけどw

    ビギナー, 新月, 若葉 と始まりを想起させるタイトルが多いですよね


    君との思い出は宝物。それはそれで、進んで行こう。


13. どんどどん

    このアルバムでいちばんはっちゃけてる曲
    探検隊 と同じく亀田さん抜きのセルフプロデュース楽曲

    タイトルの どんどどん はおそらく演奏からだと思いますw
    Aメロはひたすらどん・ど・どん・どどどのリズムで演奏が進みます
    メモリーズ(・カスタム) っぽくボーカルが加工されて
    ナナへの気持ち のような平坦なメロで
    ヘンテコな歌詞

    正直この曲は歌詞解釈が難しいと思ったのですが
    「これ、凄くエロいこと歌ってない?」と思うと納得できました
    ほら、こう思うと意味わかりそうなフレーズだらけじゃないですか?w
    少なくとも僕にはそういう比喩ばかりの歌詞に思えました

    この曲もギターソロが格好良いなぁ
    というか『とげまる』ギターソロがある曲多い!まさにロック
    アウトロのキーンって感じも好き


    君と×××。妄想?


14. 君は太陽

    ラストを飾るのはシングル曲

    正直 君は太陽 は僕の中ではスピッツでほとんど聴かない曲でした
    スピッツってあまりそういう曲ないんだけど、どうも好きじゃなかった
    だけど今アルバムで改めて聴いたら、なにこの名曲
    
    軽快なメロで虚しい歌詞をを笑い飛ばすようなAメロから
    太陽が翳ったような切ないBメロ
    そして明るいサビにつながってポジティブなフレーズで終わる
    完璧じゃないですか

    Cメロのそこだけ陽溜まりの中のような雰囲気も凄く良い
    ここで出てくる"果実"と 幻のドラゴンでのそれの関連も気になるところ

    ビギナー のやるせないようなネガティブなフレーズから始まって
    君は太陽の ひねくれたポジティブさで締める
    良く出来ている流れだ


    君は太陽。だから大丈夫。



以上です


自分なりの1行ストーリー解釈もしてみました(各ラストの1文ね)

マサムネが「今は音楽の聴かれ方も多様化してきて、
曲単位で聴く人もいるかもしれないから
どこを取ってもいい曲(シングル級の曲)ばかりにした」

みたいなことを言ってましたが、まさにそんな感じ
全曲シングルいけるんじゃないか?と思いました

マサムネのメロディメーカーとしてのセンスは健在ですね
20年もやって全然衰えてない、流石
詞もわかりやすい言葉なのに深い…という詩人っぷり

演奏もかなりロックしてますよね
でも『ハヤブサ』ともまたタイプの違うロックですね

既にヘビロテしてますが
『とげまる』…めちゃくちゃいいです
スピッツファンは勿論、新規の人にもお薦めできる1枚です


では。


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