私自身もIT企業を定年退職して、ハローワーク(HW)で6年間職業相談員をしていたが、そのうち5年は「生涯現役支援窓口」(一般窓口も兼務)を担当していたため、今でもYouTubeで「定年後」に関連する動画を中心に見ることが多いのだが、その中で偶然、私のこのブログを取り上げてくれたチャンネルを発見したのでうれしくなってしまった。 

「ハローワークに来るクセの強い人たち」をレポートするブログ

取り上げていただいた、「60才からの再就職@シニアライフ:還暦太郎」さん ありがとうございました。

●YouTubeで「定年後」や「シニア」で検索してみよう

 YouTubeでは、定年後の就職活動ライフスタイルをテーマにした個人チャンネルが多数ある。その中には定年後の厳しい現実も披露されている。例えば・・・

 年金だけでは生活費が足りず老後破産老後貧乏に陥った人、変な投資話にだまされて退職金を失った人、時間を持て余し『サンデー毎日』状態で、家でゴロゴロして夫婦仲が悪くなり熟年離婚に至った人など、身につまされる話も多い。

 中には、やりがいのある仕事に就けた人や、趣味やボランティアで地域のコミュニティーに積極的に参加して充実した老後生活をおくられている方の動画も見られるが、定年を迎える者にとっては、不安や悩みはつきないところだ。

 とりわけ、定年後の就職活動については、HWの生涯現役支援窓口で高齢者を支援していた者にとっては、これらのチャンネルで取り上げる内容や口コミに共感する事も多かった。

 定年後の暮らし方や就職活動に不安をお持ちの方はぜひ見て欲しいところだ。

 

 定年後、ハローワークの生涯現役支援窓口に相談にくる人には大体3パターンに分類される。

●働くことを選択できる人

 年金と退職金や保有資産でなんとか生活できる人で、この人たちは「いい仕事があれば働きたいけどな・・」と言うのが共通の口癖である。

 「いい仕事ってなんですか?」と聞くと、明確に言える人は少なくて、大概は、精神的にも体力的にも負担が少なくて、経験が活かせて気楽に働ける仕事ということになるのだろうが、まず見つからないのが実情で、そうした人はそのまま就労せずに隠居生活を送ることになる。

 もちろん数が少ないが、社会参加を目的として、職種や賃金にこだわらず長く働きたいという人もいたが、いずれにせよ生活には困らないので、就労する・しないに関わらず充実した老後を送っていただければと思う。

 

●働かないといけない人

 年金と貯金だけでは生活できない人で、「老体に鞭打って」働かざるをえないため、高齢者にとって定番の「警備、交通誘導、清掃、調理、介護」など体力的に厳しい仕事が多い中、頑張って働こうという人たちで、一番相談件数が多く相談員としてもなんとか仕事に就けるよう積極的に支援していた。

 中には、「働かないといけない人」にも関わらず、初めは変なプライドから、「定番の仕事はいやだ」という人もいたが、背に腹は代えられず、そのうち諦めて定番の仕事に応募するようになる人も散見していた。

 

●働きたくても働けない人

「働かないといけない人」なのだが、持病やけがで就労に制限があり、高齢者の定番の仕事が体力的にできない高齢者で、現に窓口では、腰や膝を痛めたので清掃や警備などの立ち仕事は無理とか、糖尿病・心筋梗塞・脳梗塞で快方に向かっているものの無理はできないという多くの高齢者からの相談をうけてきた。正直、相談員として一番苦労したのがこのパターンである。

 たまたま軽作業の仕事があれば紹介できるのだが、競争率も高く、結局、時間をかけてさがしても見つからず、そのうち来所しなくなる人も多かった。おそらく貯金が尽きてしまう前に身内からの支援を取り付けたり、相談先をハローワークから市町村の生活援護部門(生活保護)に切り替えたのではないかと推察していた。心配しても仕方がないのだが、相談員としては、やむをえないとは言え複雑な心境だった。

 

●健康問題は予想できない

 定年後は『お金』と同じくらい『健康』であることが大事であり、この2つの前提条件をある程度満たしていないと安心した老後は送れない。

 定年後のお金の問題(年金・退職金・貯蓄等)は、前もってある程度予測できるが、健康問題(被介護を含む)は予測ができない。

 一見、経済的な余裕がありそうでも、健康リスク(病気(認知症も含む)やケガ・入院・介護施設入所など)を想定すると様々なマネープラン(Aプラン、Bプラン・・)を用意していないと安心した老後は送れない事になる。

 老後は貯金が2千万円なくても大丈夫と言い切る動画チャンネルもあるが、これも70歳くらいまでは、健康で働けるという前提に立った話が多い。

 ただ、いつまでも働けるわけではない。本当の人生を終える前に(PPK(ピンピンコロリ)で亡くなる人を除き)職業人生を終える時が必ず来る。その間の期間が短ければいいのだが、これからの長寿社会を迎え、残念(?)ながらますます長くなり、もっと『お金』が必要となりそうだ。  

 

本当は、これらをじっくり考えていきたいところだが・・・

 

●定年後はドッグイヤーと心得よ

 自分が定年後に働いた経験から、60歳以降はドッグイヤー(※)になると感じている。

(※)犬は、人間で言うと1年で4~5歳、歳をとると言われていること

 60歳、65歳を過ぎると、歳ともに加速度的に、体力・気力・記憶力・判断力・認知力等も衰えてくる。もちろん時期については個人差をあるだろうが、いずれ誰もが実感することになる。

 定年後も働こうと考えていても、定年になってからゆっくり考えようと悠長に考えていては、あっという間に歳をとってしまう。

 定年後のプランは、定年前の間に早め早めに考えておきたいところだ。