統計学で新型コロナウィルスをしのぐ | 博士課程を中退・再入学したドクターからのメッセージ

博士課程を中退・再入学したドクターからのメッセージ

大学院博士課程を中退し、再入学して博士(工学)を取得後に企業に就職したドクターから悩める院生へのメッセージ

12月の新型コロナウイルス発生から
約3ヶ月が経とうとしている。
 
ウイルスに注意して、家に閉じこもって、
誰とも接しない。
そんな「ゼロリスク」な生活は無理だろう。
 
経済活動、社会貢献をしなければならない
我々は、「リスクと共に生きる」という方法を
選ばざるを得ない。
 
そうなると重要なことは、
 
「ウィルスに患うリスクを減らせる要因は何か。」
 
「重症化を防げる要因は何か」
 
という要因を、疫学で使われる
 
統計学的データを示し、明らかにする
ことではないか
 
とネットやテレビを見ながら思う。
 
なぜなら、我々は科学の知識で、
発生当時は原因がわからなくとも、
天然痘、コレラ、黄熱病など、
数々の感染症拡大リスクを克服してきたからだ。
 
例えば、1854年、イギリスのロンドンで
コレラが大流行した際には、
麻酔医のJohn Snowらは、
ある井戸水の飲用を辞めることで、
コレラのら患率が下がることを統計データで示し、拡大防止をおこなった。
 
※コレラ菌がコッホ博士により見つかったのは、
 それから約30年後の1883年でした。
 
このコレラの科学的調査方法は、
 
・コレラで亡くなった人の環境をよく観察する
・同じ環境で、患った人と患っていない人の違いや例外を調べる。 
 ※死者が出ないはずの場所の死者や、死者がいるはずの場所で生き残った場所など
統計データを元に仮説を立て、検証する
 ※井戸の取っ手を外し、発生を確認する
 
ことだった。
 
しかし、その当時、権威のある学者たちは、
役に立たない権威と「経験と勘」だけで、
臭い説を唱えたようだ…。
個人的には、分からなくはないが、…
 
今も、何の根拠も有効なデータもなく、
マスクは健康な人には役立たないだの、
学校閉鎖などの闇雲な隔離手段、
結局は、ワクチンの開発待ちと季節頼み…。
 
しかも、WHO 、日本政府を含め、出てくるデータは、
単に発生場所と人数だけの集計のみである。
統計データは、せいぜい潜伏期間くらいか?
何と非科学的態度か。
 
こんな今こそ、統計学者、疫学研究者らに
必要なデータを渡し、
・移動手段の違い
・マスク着用の効果の有無
・手洗い回数
・換気回数や接触時間の違い
・温度、湿度の違いなど
統計データを使って、
いかに感染リスクを減らすファクターを見つけ、
羅患した人によるバラマキ(再生産数)を1人以下にし、
新型コロナウィルスによる影響を最小にするか
が必要と思います。
 
(参考文献)
・スティーブ・ジョンソン; 感染地図 歴史を変えた身近の病原体, 河出書房新社
・西内啓; 統計学が最高の学問である,ダイヤモンド社
・森田果; 実証分析入門, 日本評論社