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久しぶりにシュナーベルを聞く

引越しの際に詰めたっきりほったらかしてあった段ボールの一つを昨日ふと開けてみた。
CDがぎっしり詰まっていた箱のなかで,ずいぶん前にソウルで買ったシュナーベルのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ集が妙に目についたので,堀出し,久しぶりに聞いてみることにした。
テンペスト,ワルトシュタイン,月光,悲愴など,タイトルが付されたものを集めた組み合わせものだ。
旅先のソウルでわざわざ入手したのは,ソウルの街の喧騒に膿んで無性に聞きたくなったといった実存的な理由から,というわけではなく,単に激安だったからという即物的なりゆうによってである。
テンポは総じて早めである。左手でリズムを刻むその調子が何ともシュナーベル!
妙にくっきりしていて聞いていて気持ちがいい。べたつくことがないのだ。
つまりケンプの対極。
だけど,エドウィン・フィッシャーともバックハウスとも違う,特徴的なアーティキュレーション。
リズムをたたみかけることによって,独特の勢いが出てきてハッとさせられることがある。
カルロス・クライバーがシンフォニーやオペラの序曲のアレグロの部分を演奏するときにも感じられる,メタ・リズムとでも言うべきものだ。ずいぶん前にムーティがウィーン・フィルとジュピターをやった演奏会のライヴ録音でも,それを聞くことができた。これを聞くことができるとうれしくなる。気分が高揚する。得した気分になる。
ライヴならノリでハード・ドライヴでこうしたことも起こるだろうが,しかしこのシュナーベルの演奏はスタジオ録音のはずである。
しかしまあ久々のシュナーベルに不意打ちを食らわされるとは。
これも何かのきっかけ。もう少し聞き込んでみるか。。

世界のビール(その2:オランダ)


アムステルダム中央駅 アムステルダム中央駅

だいぶ前の話(2004年2月)になるが,アムステルダムからケルンへ向かう前ため中央駅へと向かっていたが,1時間半ぐらい余裕があったので,同行者と相談しビールでも飲もうということになった。ダム広場と中央駅の中間にいくつもある小路にはブラウン・カフェやビアハウスらしき店がいくつも並んでいるが,そのなかでも厳つい構えの古びた店に入ることにしたわけだが,何しろ外から内部の様子を伺えないのでちょっとした勇気を振り絞って,ままよとばかりに重い扉を押したのであった。アジア系の人間は皆無。オランダ人かかどうかは分からないが,背の高い白人の客ばかり,夕方ということもあって込み合っていた。扉の先にまずカウンターがあって,その横に立ち飲み用のスタンドテーブルがいくつも並んでいる奥に,ボックス席が並んでいたので,そこに座ることにした。
オランダといえばハイネケンが思い浮かぶが,同社は他にアムステル・ビールというものも販売している。西隣りのベルギーは,トラピストタイプをはじめとする上面発酵のビールで知られているし,東隣りのドイツも下面発酵のラガー系をはじめ,アルト,ヴァイツェンの他,この日の宿泊先であるケルンにもケルシュというなぜかメスシリンダー状の容器に入れて出される同じ上面発酵の飲みやすいビールがあるなど,多様多種のビールの存在で知られている。この流れであれば,両国に挟まれたオランダにもハイネケン系以外のビールが存在していそうだが,果たしてそうなのか? 答えはYESである。 
周りに違和の空気を漂わせてしまったかな,といささか気後れしたものの,もちろんここまで来た以上は飲ませてもらう。はじめはテーブルに置かれたリストから,無難にベルギーの瓶ビールを頼んだ。なーんだ,ないじゃないか,そう思われても仕方ない。これを書いている私も,最初は,この暗いお店をよく眺めまわしていなかったかので,それにしか目が行かなかったのだ。一本飲み干し,厠へ用を足しに行った帰りにカウンターに寄ると,おもむろにタップが並んでいるではないか! カウンターの中のマスター(らしき人物)に,生ビールには何があるの? と聞くと,ドアの上にある黒板を指さして,あそこに色々あるだろう,とのたまう。なーんだ,あるじゃん! いわゆる地ビールを樽で取り寄せてジョッキでサーブしているのである。ハイネケンはなかったんじゃないかな。ともあれ,時間が押しているので立て続けに二種を飲み干す。飲むことに必死で,メモも写真も撮らなかったことが惜しまれる。何という呑み意地の悪さ!
ぎりぎりまで粘ったおかげで,尿意をもよおしつつ小走りに向かうアムステルダム中央駅のなんと遠かったことか・・・。

世界のビール(その1:ラオス)

ヴィエンチャン(ラオス)のビアホール ヴィエンチャンで生ビールの飲める店 (確か…)

いきなりラオスである。国産は「ビア・ラオ」のみ。社会主義国家なので国営工場で製造される。
タイだと,シンハ,チャム,そしてクロスターなど,それぞれに個性のあるビールがあるが,ラオスにはこれしかない。他の酒は「ラオラオ」と称される蒸留酒(あえていえば米焼酎)があるが,なかなか強烈な臭いと味で,たくさん飲もうとは思わない。対してビア・ラオはほんのり甘い香りがするやさしいビールである。
ラオスの首都ヴィエンチャンには何軒か生ビールの飲める店がある。というと変に聞こえるかもしれない。生ビールが珍しいのか? ずばりそういうことなのだ。しかも瓶ビールの方が高い。生産工程で最後のひと手間をかけるかかえないか(品質の安定化と日持ちのため),生ビールはそれをしない段階で出荷し,瓶ビールはそれを行っているということ。その工程の差が値段に反映されているわけだ。扱いが悪い生ビールは酸化してしまい酸っぱくなったり炭酸が抜けてしまったりしまうが,きちんと扱ってさえいれえば瓶よりもフレッシュで美味しいビールにありつける。
問題なのは,その生ビールにありつける店を探し出すことだ。ナンプー(噴水)広場西隣の「コプチャイドゥー」は,一番手軽に飲めるところだが,何せ観光客だらけ。コーケイジャン率が異常に高い。ナンプー広場が現在のように改装される前は,噴水の周りがビアガーデンになっていてそこでも飲むことができたが,今はそれもかなわない。メコン川沿いの屋台は瓶ばかり。そういえば文化会館横の小洒落たレストランでも飲めるな。
ちなみに写真の看板の店は,タラート・サオ(朝市)の南側の道を東へ1kmほど行ったところにある平屋の木造家屋にイスとテーブルが10組ぐらい並ぶ典型的なレストラン。ピッチャーを頼むと,プラスチックの容器に生ビールを入れて持ってきてくれる。あては,タムマークフン(タイであればソムタム)をはじめ,ラオスの普通の家庭料理が揃っている。ビールの値段は1リッターで10,000キップ(100円弱)。瓶はまあどこでも大瓶一本7000か8000キップだろうか(情報は2004年段階のもの。現在はもっと値上がっているものと考えられる)。
ラオスのまったりした速度感と空気にこのほんのり甘い(もちろんエールのようなものではないが)香りはよく合っていると思う。もちろん辛めの食べ物にも。だが,韓国のビールと違って味は濃くしっかりしている。日本でもたまに缶ビールを見かけるが,あれは輸出専用なのだろうか,現地ではあまり見かけなかった。