イチ(仮名)と自称ポチ(私)。

 

競技者だったイチの話だ。

 

出身地、大学は、私と別だった。

競技者としての持ちタイム・実績(舞台や回数)・実力で

私はイチの足下にも及ばず、

ともに(スポーツ推薦・特待生などの)私立大生でなかったこと、

当時メイン競技種目が同じだったことから、

私の中では対抗心よりも

目標とする気持ちや仲間意識の方が強かった。

合同合宿のフリー(個別練習)などの時、2人で行動することが多かった。

 

これは、私の3年生時の合同合宿での話だ。

 

宿舎は大部屋。

相部屋の他大生とは、競技の話や、(自身や先輩の)就職の話をしていたものだ。

たまに誰かと誰かが付き合っているなどの話でも盛り上がっていた。

 

その日、私は午前中の集合練習で、

いつも通り、既に潰れていた。

宿舎で寝転び、午後の前半フリータイムこのまま寝てたいな…。少しは動いておかないと後半集合練まずいわな…、などと考えていた。

 

そこに別部屋だったイチがやって来た。

(たまたま通りがかっただけかもしれないけど)

 

イチ「ポチ!俺今から筋トレ行くぞ。ポチはどうする?」

 

え?

集合練前に筋トレするなんてクレイジーやん!

マジですか?!

 

私「…。行きますかー。筋トレ(泣)」

 

予想通り、筋トレ室には誰もいない。貸し切りだ。

イチは、どのメニューでも私より10%くらい重い重量をこなしていた。しかも上げる動作が私よりかなり速く、ブレていなかった。

これはMax(※1RM)では15%は違うな…。こんなにも差があるのか…と、目撃し衝撃を受けた。

 

イチ「俺、実業団行きてぇんだよ」

私「あー、競技続けるんだ。流石だね」

イチ「いや、(公認で)●●以内ならって言われている」

私「は?インカレ表彰台(実績のある選手)で、企業採ってくれんの?そんなに(採用条件)厳しいの!?」

 

驚いた。

(ニューイヤー駅伝などで)大量の選手需要がある長距離競技者なら、複数のオファーが必ず来るレベル。

長距離以外の競技者が、卒業後も実業団で競技を続けることは、こんなにも難しいことなのか!!

 

この日のイチは、激アツだった。

イチの言葉を、今でも覚えている。

 

イチ「俺たちには、私立のような設備(※練習環境)がない。トレーナーやコーチもいない。(競える)練習パートナーも少ない。」

(※私立とは、おそらくCやH、Nなどのことを言っていたと思われる。)

 

イチ「だから、頭を使って(※自分の頭で考えて)私立(スポーツエリート)の奴らと戦うんだよ!」

 

イチ「俺たちだってエリートに勝てるんだよ!」

 

イチは大学でタイムを伸ばしたそうだ。

 

イチ「ポチも、ここ(※イチのいるステージ)まで上がってこい!」

 

この日、イチは自身の詳細な週間練習メニューとそれを行っている意図を私に教えてくれた。

 

イチ「やるか、やらないかだよ。ここからだぞ!」

 

 

卒業後、イチのことを思い出すことは、ずっとなかった。

しかし5年前、私の闘病中、夢に突然イチが出て来た。

そして最近またイチのことを思い出したので書いた。