彼女は、僕が過去を覗いたことを知ったら

怒り狂うかもしれない。



それは確かに、恥ずかしさであるとか、

そういったものが原因であると思うのだが、

一番はきっと、赤裸々な言葉を投げている自分を

知られたくないからなのだろう。



彼女は、僕に愚痴るようなことをあまりしない。

それは、僕自身が

あまり愚痴ることのない態度ということもあるだろうが、

やはり、自分の弱い部分や汚い部分を見せたくないからなのだろう。



僕は、汚い言葉をぶちまけたりはしない。

しかしそれは、ある種素直でないと言えるのかもしれない。

自分の抑制の仕方だけが巧くなっているだけなのかもしれない。




彼女は、素直だ。

いつもあっけらかんとしているが、

やはり彼女はしっかりペルソナをかぶっていた。



僕は、彼女のペルソナの下を初めて見た気がした。

彼女も誰それと同じように、ぶちまける術を知っていた。


彼女の考え、表情、たくさんの想いに隠れて一気に触れてみたら、

急に、凄く彼女がいとおしくなった。




彼女のペルソナの下を知りながら、それを知らないフリをする。




とても卑怯だとは思うけれども、



彼女の人間的な面をまじまじとかいま見てみたら、



僕は彼女のことがとてもまっすぐに、とても好きなのだと思った。
ふとしたことから、彼女の過去を覗き見た。


僕以外を想っていた頃の彼女を見つめるのは、やっぱい重い。


それでも、
読むことをやめなかったのは、
単純な興味があったからなのか。

それとも、それが誰かを知りたかったのか。



彼女の過去に嫉妬している僕はアホだ。

彼女は僕のことしか見てないのを知っているのに。



彼女は、ウソをついている。

でも、僕もしっかりウソをついている。

二人とも、同じようなウソ。



僕が辛いのは覗き見た罰。

彼女には言えない。

このまま黙っていればいい。言う必要がない。


お互い様さま。
言葉を意のままに操ることが

できればいいのに。


あまりにもたくさんの側面や

あまりにもたくさんの色を持っているから

自分の気持ちを表すには

とてもやりにくくて

僕はいつも振り回される。


誰もが使えることなのに、

一言、発するだけなのに、

近づけようとすれば離れていく。

状況がジャマをする。

思考回路がちゃちゃを入れる。

僕の思いとは裏腹に

言葉は一人歩きをする。


僕だけではない。

きっと、僕だけではない。

けれど、僕以外には知らない。


なんてことはない。

特に何でもない。

そうしてフタをしてしまう。


押し殺してしまえばしまうほど

言葉は腐っていく。

暴走し始める。

僕はそれを止める術もしらない。

誰に聞いてもわからない。

きっと、僕だけが苦しんでいる。


言葉を意のままに操ることが

できればいいのに。