こんばんわ。
何とか5月を乗り切ったevolokuyです。
社会人になると長い連休があると、
素直にうれしい反面、営業日を削られる思いもあります。
あまり後者は考えないようにはしています。
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というわけで今回は、
先週の土曜日に放映された第3回AbemaTVトーナメントの
予選Cリーグ第一試合チーム康光vs.チーム糸谷について振り返ります。
A・Bリーグ同様1記事にまとめようとも思いましたが、
分量が多くなりそうなので、分けてみようと思います。
第一試合の注目ポイントとしては、
チーム康光に谷川九段、チーム糸谷に都成六段が所属しているところ。
この超早指しルールで師弟対決が実現するかどうか。
【先鋒戦】谷川浩司九段-都成竜馬六段
【中堅戦】森内俊之九段-髙見泰地七段
【大将戦】佐藤康光九段-糸谷哲郎八段
オーダー発表が行われ、先鋒戦で師弟対決が実現!
両チームともこの対戦を意識したオーダーだったようだ。
レジェンドの底力
先鋒戦はいきなり注目の師弟対決。
1局目は都成六段の先手で角換わり模様から▲6六歩として雁木に。
先手の都成六段が3筋からの攻めを見せた局面で、
谷川九段が△6五歩から先に仕掛けて戦いが始まった。
仕掛け前後の局面で都成六段は連続長考で持ち時間が数十秒ほどに。
後の将棋も同様だが、弟子が時間に追われるまさかの展開に。
中終盤は谷川九段優勢で進み、最後光速の寄せ炸裂か、と思われた。
後手玉は安泰なので、局面は必至を掛けても勝ちの局面。
それでも谷川九段は美学に沿って詰ましに行った。
しかし、先手玉はスルスルと2筋まで逃げ込んでみると詰まない…。
なんと詰まし損ねてしまい、最後は逆王手を掛けられて無念の投了。
2局目は後手の都成六段が四間飛車に振り、ミレニアム模様に。
穴熊に囲った谷川九段が中盤で▲6五歩と積極的な仕掛けを見せる。
結果的にはこの仕掛けをきっかけに先手が優位に立った。
中盤、都成六段が放った△4九角に▲6六金が好手で、後手の攻めが切れた。
以下は後手の攻めを丁寧に受け切って師匠の貫録を示して、1勝を返した。
3局目は後手の都成六段が6手目△9五歩からダイレクト向かい飛車に。
先手は地下鉄飛車模様からバランス重視の構え、後手は銀冠で堅さ重視の構え。
局面は先手が仕掛けのタイミングを逸して、後手が作戦勝ちに。
3筋で得た一歩を活かして、5筋から機敏な仕掛けで都成六段がリードを奪った。
仕掛けに対していい受けがなく、▲8五歩から勝負に出たが、
都成六段のカウンターがさく裂し、中央突破に成功。
最後は綺麗に谷川玉を詰まして、恩返しの2-1で先鋒戦を制した。
局後の感想にもあったが、お互い内容が良くない将棋で、やや硬さが見られたか?
中堅戦は同じ横浜を地元ととする森内九段と髙見七段が対戦。
1局目は髙見七段の先手で相土居矢倉の将棋に。
お互いに薄い玉形で難しい将棋で、形勢不明のまま終盤戦へ。
髙見七段の攻めを森内九段が受ける棋風通りの展開。
際どい受けを連発してしのいでいた森内九段だったが、
髙見七段の▲4五桂が決め手で、一瞬の鋭い寄せを見せて先勝。
2局目は後手の髙見七段が銀矢倉に組む趣向。
対して森内九段は早囲いから4七銀・3七桂型の攻め。
8筋から戦いが起こり、先手が攻めを受け切れるかという展開。
ただし、急所の局面で森内九段が受けを誤り、後手の攻めが繋がる展開に。
このまま攻め切るかというところで、▲2四香が渾身の勝負手。
これに髙見七段が応手を誤り、後手玉がトン死。大逆転でタイに持ち込んだ。
3局目も後手の髙見七段の銀矢倉に森内九段が金矢倉で対抗。
序盤の駒組みで髙見七段が工夫を見せたが、森内九段がうまく対応。
後手の無理攻めを引き出してカウンターを決め先手優勢に。
▲6三銀から後手陣に絡みつく寄せで勝利を手繰り寄せた。
最後は間違えのない確実な寄せで中堅戦を2-1で制した。
大将戦は何が起こるか分からないリーダー同士の対戦。
1局目は後手佐藤九段の雁木右玉模様に対して、糸谷八段が右四間飛車で対抗。
序盤早々6筋でいちゃもんを付けて一歩交換。
それを見て佐藤九段は6二にいた玉を3一までお引越し。
経験に裏打ちされた大局観で急場をしのいだ。
中盤戦では佐藤九段が王手成銀取りを食らって形勢を損ねたが、
うまく盛り返して形勢不明のまま終盤戦へ。
大技を繰り出そうとする糸谷八段に対して、冷静な受けでしのぐ佐藤九段。
△7二銀の飛車取りの銀が好手で、後手ペースに。
後手玉がピンチと思われた局面での△8五金が印象的。
解説や控室、糸谷八段も後手玉に詰みありという読みだったが、
実際には詰まず後手勝勢に。
糸谷八段の怪しい粘り連発だったが、佐藤九段が剛腕でねじ伏せ先勝。
2局目は先後変わっても佐藤九段の雁木に糸谷八段の右四間飛車。
糸谷八段の攻めが不発で佐藤九段ペースで中盤戦が進んでいたが、
勝負手に対応を誤り敗勢に。
しかしながら、あえて王手飛車を掛けさせるなどしている間に懸命の入玉。
糸谷八段もギリギリの寄せを目指したが、寄せ切れず。
流れは先手勝ちかとも思われたが、糸谷八段が踏みとどまり持将棋模様かと思われた。
そこで局面に現れたのは銀を打って取っての繰り返し。なんと千日手に。
指し直し局はこれまた佐藤九段の雁木に糸谷八段の右四間飛車。
今度は後手佐藤九段が雁木右玉に組んだが、作戦負け気味に。
△3五歩~△1五歩と無理矢理動いてみたが、やはり無理攻め。
糸谷八段がノンストップの攻めを見せて、開始時31秒の持ち時間を
2分20秒にまで増やしての圧勝。これで大将戦もタイに。
3局目は振り駒で佐藤九段の先手に。
戦型はと言うと、4度目の雁木対右四間飛車。好きですね~。
よく考えると中堅戦も全局矢倉。意地と意地のぶつかり合いとも言えます。
ただ、最終的には先手は矢倉模様となった。
局面としては2局目と似た展開で糸谷八段が比較的穏やかな展開を選択。
と思いきや、一転ギアチェンジで激しい展開に持ち込んだが、
佐藤九段のカウンターが決まって、先手優勢に。
しかし、そこは糸谷八段。劣勢とはいえ簡単に土俵を割らない。
凄まじい粘りで佐藤九段に決め手を与えない。
普通なら間違えてもおかしくないが、適切な時間配分で急所で持ち時間を残していた。
先手の4五桂を軸に▲3三銀から斬り込んでいく。
糸谷八段も4五に打った角を△6七角成と矢倉の金と刺し違える勝負手を放つ。
佐藤九段はそんな中でも冷静に受け切って反撃。
最後は粘りをかいくぐって寄せを決めて、大将戦を制した。
結果としては谷川九段が詰ましそびれる大逆転負けから始まったが、
森内九段・佐藤九段が2勝1敗でバトンを渡し、チームとしては1ポイントを獲得。
チーム糸谷は終始押し気味に進めるもあと一歩勝ちを阻まれ、-1ポイントに。
チーム康光はフィッシャールールへの対応が心配されたが、
経験でそれをカバーして上出来のスタートとなった。
早見え以外でのフィッシャールールへの対応を見出した瞬間でもあった。
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フィッシャールールへの経験が勝るか、実績十分の経験が勝るかという勝負だったが、
チーム康光が一歩抜け出す形となった。
チーム康光の年齢でこのルールは厳しいかとも思っていたが、
予想以上にうまく対応しているように見えた。
やはり経験に裏打ちされた優れた大局観は、
何にも代えがたい財産ということを証明した、と言えるだろう。
本日行われるチーム木村vs.チーム糸谷も大注目!
それでは(^^)/~~~