トリスタンとイゾルデ(ワーグナー、1859年)

 

イングランド南部のサセックス丘陵グラインドボーンで開催されるグラインドボーン音楽祭からの録画。
昨年12月8日に放映されたものですが、見たのは今年になってから。

 

あらすじ: 
【第1幕】
 時は伝説上の中世、舞台はイングランド西南部のコーンウォール。アイルランドの王女イゾルデは、コーンウォールを治めるマルケ王に嫁ぐため、王の甥であり忠臣であるトリスタンに護衛されて航海していました。かつてトリスタンは、戦場でイゾルデの婚約者を討ち、そのとき自らも傷を負ったものの、名前を偽りイゾルデに介抱してもらったことがありました。このときイゾルデは、トリスタンが婚約者の仇だとすぐ気が付きましたが、そのときにはすでに恋に落ちていました。
 イゾルデは、自分を王の妻とするために先導するトリスタンに対して、激しい憤りを感じています。彼女は一緒に毒薬を飲むことをトリスタンに迫りました。しかし、毒薬の用意をイゾルデに命じられた侍女ブランゲーネが、毒薬のかわりに用意したのは「愛の薬」でした。そのため、船がコーンウォールの港に到着する頃、トリスタンとイゾルデは強烈な愛に陥っていたのでした。
 
【第2幕】
 イゾルデがマルケ王に嫁いだ後のこと。マルケ王が狩に出掛けた隙に、トリスタンがイゾルデのもとを訪れ、二人は愛を語り合います。そのとき急にマルケ王は戻ってきました。これはイゾルデに横恋慕していた王の忠臣メロートの策略でした。マルケ王は信頼していたトリスタンの裏切りと妃の裏切りに深く嘆きます。王の問いにトリスタンは言い訳をしようとしません。メロートが斬りかかってきたところを、トリスタンは自ら剣を落とし、その刃に倒れたのでした。
 
【第3幕】
 フランス西北部ブルターニュにあるトリスタンの城。トリスタンの従者クルヴェナールは、深手を負ったトリスタンのために、イゾルデを呼びよせました。しかし、イゾルデが駆けつけたその瞬間、彼は息絶えたのでした。
 そこへ、全ては愛の薬のせいだと知ったマルケ王がやって来ます。ただそのときには、すでにもうイゾルデの運命は決まっていました。彼女は至上の愛を感じながらトリスタンの後を追ったのでした。

http://www.geocities.jp/wakaru_opera/より


 

配役:
トリスタン (マルケ王のおい) : ロバート・ギャンビル
イゾルデ (アイルランドの王女) : ニナ・シュテンメ
国王マルケ : ルネ・パーペ
クルヴェナール (トリスタンの従者) : ボー・スコウフス
メロート (マルケ王の臣) : スティーヴン・ガッド
ブランゲーネ (イゾルデの侍女) : カタリナ・カルネウス
牧童 / 若い水夫 : ティモシー・ロビンソン
かじとり : リチャード・モズリー=エヴァンズ

合 唱 : グラインドボーン合唱団
管弦楽 : ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮 : イルジー・ビェロフラーヴェク
美 術 : ローラント・エシュリマン
衣 装 : アンドレア・シュミット=フッテラー
演 出 : ニコラウス・レーンホフ
字 幕 : 寺倉 正太郎
[ 収録: 2007年7月28日, 8月1日,6日   グラインドボーン音楽祭大ホール (イギリス) ]

 

イメージ 1

 

『トリスタンとイゾルデ』、花であらわすならこんな感じかな。

 

「夜に向かうことでしかかなわない愛」

 

だと思うので、背景も黒にしてみました。

 

セリフも難解(原語ではどうだかよくわかりませんが)、反語的な表現が非常に多いです。

 

はっきり言って、非常に暗く重い内容で、聴いている人へのサービス精神というかハッピーな気持ちにさせようとか言うものがまるで感じられないオペラです。


 

いや、ワーグナーの場合、「オペラ」ではなく「楽劇」といわなければいけないのかもしれません。


 

じゃ、いったい何がよくってずーっと聴き継がれてきたのか?

 

もちろん、音楽です!!

 

音楽の美しさ!

 

調性のよくわからない、俗に言う「トリスタン和音」が全曲通してそこかしこに表れます。
トリスタン和音については、ウィキペディアを参照するとよいでしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E5%92%8C%E9%9F%B3
この麻薬のようなメロディを聴くためなら、4時間半という長時間でも苦ではないのです。
(・・・あ、でも、私一気には聴けませんでした(汗)・・・)

 

前奏曲だけでも聞く価値はあります。
どんな人も、このワーグナーの独特の世界に引き込まれてしまうのでは、と思います。


 

画像の移行に失敗しています



 

トリスタン役のロバート・ギャンビル、彼は、ワーグナーオペラの歌い手として、かなりキャリアを積んでいるようで、確かにはまり役ではないかと思いました。
アメリカ人のようですが、非常にはっきりしたドイツ語の発音。
わざとらしいとも思えるような巻き舌。
脚本をきちんと読み込んでいるような印象も受けました。

 

あと、気に入ったのが、ブランゲーネ 役のカタリナ・カルネウス
メゾソプラノですが、イゾルデ役のニナ・シュテンメよりも声がよく通るように思いました。
(実際のホールで聞いたわけではないのでよくわからないですが)
舞台の中央からではなく舞台袖から聞こえるような状況のときなど、彼女の声が物語り全体を包み込むような感じでした。


 

全幕通して、舞台上の背景にぽっかりと卵型のような空間があいているだけ、というシンプルな舞台。

 

トリスタンとメロートが切り付けあうようなシーンもさらっと終わってしまい、「見る」ことに関しては控えめな演出でしたが、歌を堪能できた舞台だったのがよかったですね。