当時としては異色作品なんでしょうけれど、傑作!だと思います。

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KV527「罰せられた放蕩者」または「ドン・ジョヴァンニ」(1787年)
序曲
第1幕
(1) レポレロ「夜も昼もあくせくと」
(2) ドンナ・アンナとオッターヴィオの二重唱「ああ神様、父が死んだ」
(3) エルヴィーラのアリア「知ってたら教えて、憎いあの人はどこにいるのか」
(4) レポレロのアリア「カタログの歌」
(5) 村人たちの合唱「娘よ、恋をするなら躊躇せず」
(6) マゼットのアリア「頭を下げてさがります、旦那様」
(7) ツェルリーナとドン・ジョヴァンニの二重唱「あちらで手を握り合おう」
(8) エルヴィーラのアリア「逃げなさい、この裏切り者から」
(9) ドンナ・アンナ、エルヴィーラ、オッターヴィオ、ドン・ジョヴァンニの四重唱
(10) ドンナ・アンナのアリア「私の誇りを奪い、父をも奪った悪者よ」
※ここに挿入歌、オッターヴィオのアリア「私の安らぎは彼女にかかって」(第10曲a)K.540aがある
(11) ドン・ジョヴァンニのアリア「みんながワインで酔いしれる盛大な宴を用意させろ」
(12) ツェルリーナのアリア「ぶって、叩いて、マゼット」
(13) フィナーレ(全員)
第2幕
(14) ドン・ジョヴァンニとレポレロの二重唱
(15) エルヴィーラ、ドン・ジョヴァンニ、レポレロの三重唱
(16) ドン・ジョヴァンニのカンツォネッタ「窓辺に寄っておいで、かわいい娘よ」
(17) ドン・ジョヴァンニのアリア「半分はこっちへ、あと半分はあっちへ」
(18) ツェルリーナのアリア「私の素敵な薬をあげるわ」
(19) 六重唱
(20) レポレロのアリア「みなさん、私にご慈悲を」
(21) オッターヴィオのアリア「私の大切な人を慰めてやって下さい」
※ここに挿入歌、エルヴィーラのアリア「あの恩知らずが私を裏切った」(第21曲b)K.540cがある
(22) ドン・ジョヴァンニとレポレロの二重唱「騎士長の石像を招待する歌」
(23) ドンナ・アンナのロンド「どれほどあなたを愛しているか」
(24) フィナーレ(全員)とエピローグ

登場人物
ドン・ジョヴァンニ: Ingber Wixell
ドンナ・アンナ: Martina Arroyo
オッターヴィオ: Stuart Burrows
エルヴィーラ: Kiri Te Kanawa
レポレロ: Wladimiro Granzarolli
ツェルリーナ: Mirella Freni
マゼット: Richard Van Allan
騎士長: Luigi Roni

Orchestra and Chorus of the Royal Opera House, Covent Garden
指揮: Sir Colin Davis
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あらすじ: ドン・ジョヴァンニは女性遍歴を続け、この夜は、ドンナ・アンナの家に忍び入っている。主人を待つ従僕レポレッロの前に、2人が言い争いながら、2階から下りてくる。そこへ起き出してきたアンナの父の騎士長と決闘になり、騎士長はジョバンニの剣で倒され、アンナは駆けつけたドン・オッターヴィオと復習を誓う。彼(ジョヴァンニ)を追いかけているドンナ・エルヴィーラはレポレッロに、主人の愛人の目録を見せられ怒る。一方ドン・ジョヴァンニは愛くるしい村娘ツェルリーナを見つけ、さっそく口説きにかかり、彼女は恋人マゼットの忠告にもかかわらず、気持ちを動揺させるが、エルヴィーラが現れて危うく救われる。しかし、ジョヴァンニは諦めずに、マゼットをレポレッロに遠ざけさせ、ツェルリーナを宴に誘い、強引に物にしようとするが、仮面をつけて登場したアンナ、エルヴィーラ、オッターヴィオに見とがめられ、レポレッロに罪をなすりつける。嫌気がさして辞めるというレポレッロを金の力で説得し、別の女を口説くのに邪魔なエルヴィーラを、自分の衣装をつけ口真似をさせて、外へ連れ出させる。マンドリンを手にセレナーデを奏でているところへ、復讐しようというマゼットらの一団がやってくるが、マゼットは逆にジョヴァンニに打ちのめされ、ツェルリーナに慰められる。人々はレポレッロを見つけて、激しく非難するが、彼は隙を見て逃げ出してしまう。騎士長の石像のある墓場にさしかかった主従は、話の弾みで石像を食事に招待すると、石像は承諾する。音楽家たちに食卓音楽を演奏させ、レポレッロを相手に晩餐を行っているジョヴァンニの邸宅にエルヴィーラが現れ、改心を説くが一蹴されてしまう。出て行ったエルヴィーラの悲鳴と入れ違いに石像が登場、ジョヴァンニに悔い改めろと迫るが、あくまで拒否する彼を地獄へと連れ去る。残された人々が各自の思いを歌う六重唱で全曲の幕となる。
   (モーツァルト事典より)

なぜか、このオペラだけ、あらすじ紹介が長いのでした。
内容が深いというか、あらゆる意味を含むようなこのオペラ、短い解説にしようとしても、難しいのはよくわかります。

初演はプラハ。
かなり有名になっていたモーツァルトに、プラハのイタリア劇団から新作を依頼されたのがこれ。
どうしてこんな話を選んだのかはよくわかりませんが・・・
こんな怪しい物語が上演できたのは、ウィーンではなくプラハだったから。
ヨーロッパの中心であったとは言い難いプラハには自由な雰囲気があり、こんなテーマの話でもよかったのでしょう。

ドン・ジョヴァンニ、劇中でも言っているとおり、パンよりも女が好き、そういうタイプの人間です。
毎日、半ば強引に女性をつかまえ、相手をしてくれた女性の名前はすべてメモしています。
それが、レポレロのアリアに出てくる『カタログ』。
それによると、合計2000人ほどの名前が書いてあるそうで。
とても悪いやつなんですが、これほどの女性が相手をし、さらに、エルヴィーラのように追いかけてしまう人もいるとは、よっぽど魅力的なんでしょう。

映像で何回か見ましたが、ドン・ジョヴァンニ役は、だいたいかっこいい人が多いのです。

パートがバリトンっていうのもいいですね。
テノールでは、ひょろひょろの男を想像するし、バスでは、やけに貫禄があるか、お笑い系のキャラになってしまいます。

このオペラの結末を予感させるような重く強い響きのある序曲ではじまります。

このオペラのすばらしいところは、とにかく、アリアの曲が登場人物の性格や心の動きをよくあらわしていることだと思います。

ドン・ジョヴァンニに仕えることがだんだんいやになっていくレポレロ。
自分を裏切ったことへの憎しみとともに深い愛を持っているエルヴィーラ。
自分の愛の力で何とかジョヴァンニをまっとうな人間にしようとします。
ジョヴァンニに父親を殺されながらも、恋人のオッターヴィオよりもジョヴァンニのほうを愛してしまったアンナ。
ごく普通の結婚ではなく、何か刺激を求めていたが、結局は婚約者のもとに帰っていくツェルリーナ。
フィナーレでこれらの気持ちが歌い上げられています。

ジョヴァンニは、最後の最後まで、石像に苦しめられながらも、反省の色のないところも、歌をきくだけでわかってくるのです。

そういうわけで、どのアリアが際立って素晴らしい、などとはとてもいえず、これは、全曲を通して、まさにひとつの曲、と言えるような完成度の高い作品だと思っています。

ジョヴァンニ邸での食卓を用意するシーンには、その当時有名だったオペラの中の曲(この中にはモーツァルト自身の『フィガロの結婚』の一部なども)を演奏させるなど、遊び心もたっぷり。

オペラを作曲する上での余裕みたいなものも感じてしまったのでした。


このオペラは、歌っている人の印象で、誰が中心になっている物語なのかが変わっていくような気がします。
女性の愛の物語、とすると、エルヴィーラ役が強いのは、歓迎すべきこと?
このCDではキリ・テ・カナワが歌っています。
印象強いです。