久しぶりの患者さんが来た
受付で
『名前が変わりました…』
と言っているのが
聞こえてきた
60代の女性
見た目は若く綺麗な方
私が担当することになり
『久しぶり!』
と話しかけてきてくれた
彼氏がいて同棲20年
というのは
以前に聞いていたが
名前が変わったってことは
もしかして
結婚した?
なんて思っていた…
思いきって聞いてみると
『そうなんですよ
入籍したんです
でも彼は…
一週間後に
亡くなりました』
……えっ…………?
一年前くらいから
ずっと体調が悪く
病院に行くように言ったが
聞かない
何度言っても
大丈夫大丈夫…
と言われ続け
そんな体調の中
体は悲鳴を
あげていたに違いない
それでも
毎日 真面目に仕事に行き
弱音をひとつ吐かなかった
ギリギリのところで
生きていたのだ
そうとう悪い状態
病院なんかに行きたくない
行ったらすぐに手術とでも
言われるだろうか
そして
病院に行くことになった
…即手術。
ガンが全身に転移
命が長くないという
現実を知らされる
わかっていたが
改めて言われると
恐ろしい…
そんな時
『婚姻届もらってこい』
『えっ??私は…
今のままでいいんです』
『いいからもらってこい』
もう起き上がることさえ
出来ない体
婚姻届を書く時だけ
起き上がって
名前を書いたのだ
晴れて二人は
夫婦となった…。
自分の命が長くないこと
わかっていたのだろう
それから一週間後
突然 彼は息を引き取った
さっきまで話していたのに
なんで…………?
ずっと側にいて
どんなに辛くても
支え続けてきた
彼女の体はもうボロボロ
腕は
辛い体を毎日ずっと
マッサージし続けたから
もうパンパン
もう上がらない状態
その痛みは
お通夜の日に
すぅーと消えたのだった
彼が楽にしてくれたんやね
ありがとう
今まで真面目に働いて
全然お金を使わなかった
お金もたくさん
残してくれた
親族には怪しまれた
でも わかってくれた…
お金…
そんなのいらない
彼がいないことが
こんなに寂しいとは
思わなかった
こんなに辛いことはないよ
彼は
微笑んでいるかのように
穏やかな顔だった…
ずっと苦しかったもんね
地獄のような
毎日だったよね
もう痛くないよ…
だけど
あなたのいないこの部屋で
私はどうすればいいのか
わからない
一ヶ月経った今でも
信じられないんだよ…
でも夫婦になれて
うれしかったよ…
一緒に旅行
行きたかったなぁ…
そんなお話をしてくださり
私は大号泣…
もう涙が止まらなかった…
最後に握手を求められた
本当にまだまだ辛いのに
私なんかに話してくださり
本当にありがたかったです
これからの人生
しあわせな日々を
送ってほしいなぁ…☆