人類は何処へ向かう -3ページ目

人類は何処へ向かう

人生後半戦に向けて考えるいろいろ

通勤途中で、

赤ちゃんを抱っこしたお母さんを見かけた。

 

 

生後半年前後だろうか

おとなしく前向きに抱っこされた赤ちゃんは、

手も足もだらんと下に垂らしていた。

 

 

サルの赤ちゃんは生まれて間もなく母親サルにしがみついて移動する。

 

人間の赤ちゃんは、生物学的にとても未熟な状態で生まれてくると言われているが、

それでも数ヶ月たつと、自分で母親にしがみつく力は備わってくるはずだ。

元来、1本のおんぶひもだけでおんぶされていた頃には

振り落とされまいと、母親の背中にしっかりとしがみついていたものだろう。

 

 

10年程前に、エルゴという外国製の抱っこひもが日本にやってきて、

抱っこひも界に革命が起こった。

それ自体は従来のものにくらべ、ずいぶんゴツいものであったが、

腰ベルトでこどもの体重を支えるため、

従来の抱っこひもの肩にかかる負担が格段に軽減された。

加えて外国製のスタイリッシュなデザインに、あっという間にあちこちで見かけるほど浸透し、

国内外の他のメーカーも似たような商品を販売するようになった。

 

私自身も、上の子のときにはまだなかったこのエルゴひもを

下の子が生まれたときには速効で買い求め、2歳過ぎる頃まで愛用していた。

3歳近くなっても、エルゴがあれば余裕でおんぶできた。

 

 

この新しいタイプの抱っこひもは、

なによりホールド力が素晴らしかった。

母親の肩に掛かる負担の軽減と書いたが、

それだけでなく、赤ちゃん自身も「何もしなくても」いいのだ。

 

 

つまり、しがみつく必要がなかった。

 

 

 

 

 

普及するについて、いろいろと事故も報告されるようになった。

 

ベルトの締めが弱いと、赤ちゃんが隙間からスポンと抜け落ちてしまうのだ。

 

 

 

冒頭の赤ちゃんを見たとき、

私はすごく違和感を覚えた。

 

赤ちゃんとは、しがみついて移動するものではないのか。

 

 

しがみつくものが何もない状態で、母親(または父親)の顔も見えず、

右へ行くのか左へ行くのかもわからず、自らを先頭に進んでいく。

 

そんなアトラクションの乗り物がありそうだが、

私が乗るとしたら、ちょっと恐怖を感じそうだと思った。

 

 

それに慣れてしまうことの弊害は

果たしてあるのかないのか。

 

 

エルゴひもは前向きだっこはできないので、

前述のものは別のメーカーのものではあるが、

エルゴに代表されるホールド感のあるだっこひも。

そして前向きができる他社のだっこひも。

 

 

 

現代の便利な育児グッズには、

本来幼少の頃に養われるべき能力を

奪い取ってしまっているのではないかと思うものがたくさんあって、

こどもたちの運動能力の低下の要因の一端になっているのではなかろうかと。

 

 

そして、本来養われるべき能力を欠如したこどもたちは

珍しい存在ではなくなり、

むしろそれが当たり前になっていく人類の進化に

漠然とした不安を感じた朝の光景だった。