新聞によると、ヘリコプターマネーが検討されているらしい。マイナス金利の次は、ヘリコプターのようだ。
「ヘリコプターマネー」というのは、ヘリコプターからお札をばらまいたら景気は良くなるんじゃないか、という議論から生まれた言葉だ。ヘリマネと省略されるくらい、一部では真剣に議論されているようだ。
もちろん、実際にやるとしても、ヘリコプターからお札をばらまくようなことはしない。やるとすれば、政府が国債を発行する→日銀が引き受ける→その資金で１人１０万円配る、みたいな感じだろう。ここで重要なのは、政府は国債を償還するつもりがなく、日銀も国債を償還してもらうことを期待していない、ということ。
普通に国債を発行して、みんなにお金を配っても、多くの人が「今国債を発行するとさらに借金が増えるので、将来増税があるに違いない」と思ってしまうと、折角配ったお金が消費に回らず、貯金に回されてしまうだけで、景気にプラスの効果がない。それじゃぁ、国債をずっと日銀に持ってもらって、将来の増税につながらないようにしよう、というのがヘリコプターマネーだ。
そんなこと上手くいくのかな？と思うが、エラい経済学者が言うのだから、上手くいくんでしょう。よく出てくるエール大学のハマコー先生は「一回限りであれば、やってみる価値はある」と言っているようだが、麻薬といっしょで、一回でやめるのは難しいだろう。
日銀は、「日銀による国債の引き受けは、法律で禁止されている！」と言っている。憲法も変えようかという時に、「法律違反だ！」なんて言っても「で？」と言われるだけだろう。
でも、実は、日銀が国債を引き受けなくても、ヘリコプターマネーは結構簡単にできる。例えば、以前あったような地域振興券をみんなに配る。そして、これまでの地域振興券と違って、日本国中、どこでも、何度でも使えるようにし、かつ有効期限を無期限にする。
また、五百円玉を大量に作って、みんなに配ってもいいだろう。一万円札などの紙幣は日銀が発行するが、五百円玉や百円玉といった硬貨は政府が勝手に発行できる。硬貨がジャラジャラするのが嫌なら、一万円硬貨を作ってもいい。
いずれにせよ、ヘリコプターマネーは割と簡単にできるが、それで景気がよくなるかどうかは、やってみないと分からない。
ゼロ金利、量的緩和、量的・質的緩和、マイナス金利と、日本経済は金融政策の実験場と化しているが、次の実験はヘリマネということなんだろうね。