日銀さんは、QQEで「大量に資金を供給」している。ところで、「資金を大量に供給」するとはどういうことか。別に、日銀さんから、個人や企業に、お札が配られる訳ではない。じゃあ、日銀さんは何をしているかと言うと、一言でいえば、「流動性を供給している」ということだ。
譬えて言うと、こういうことだ。
私は、週末、家の近くの公共プールを利用する。利用料は1時間250円。これとは別に、ロッカーを利用するために、100円(百円玉)が必要になる。ただ、100円はロッカー利用後戻ってくる。財布に百円玉がないと、いくら1万円札を何枚持っていようと、ロッカーを使えない。着替えの途中で、また服を着て、事務所までに両替に行く羽目になり、非常に面倒な思いをすることになる。ロッカー利用後は戻ってくるが、今百円玉がないとロッカーが利用できず、従って、プールも利用できない。
もし、事務所にも両替用の百円玉がないと非常に困る。日銀さんが「資金を供給する」とは、ロッカーで使う百円玉を貸すようなものだ。別に、百円玉をあげる訳ではなく、後で戻してもらうことを前提に、一時的に貸すことだ。
プールの利用促進のためにプール利用料の250円を援助するような場合は、250円は戻ってこないので、財政、すなわち政治の話になる。日銀さんがやっているのは、この例で言えば、ロッカー用の百円玉がないのでプールが利用できない、というようなことがないようにすることだ。
逆に、プールの利用者が多すぎて困る(≒景気が過熱する)ような場合には、ロッカーで使う百円玉の両替に応じなければ、利用者を減らすことができる。しかし、プールの利用者が少なすぎて困る(≒景気が悪い)場合に、いくらロッカーの百円玉があっても利用者を増やすのは難しい。
日銀さんが「資金を供給」するということは、減税やいつぞやの地域振興券のように、皆さんにお金をあげることではなく、国債や株などとお札(正確には、その気になればいつでもお札になる日銀当座預金)を交換することだ。プールの例で言うと、プール代の250円をみんなにあげることではなく、後で戻ってくる百円玉の両替に応じることだ。
こんなことを考えながら、週末、プールで泳いでいる。