第12話 幸せ | 笑顔とありがとうを~大切な人たちへ~

第12話 幸せ

母が看護師さんに大部屋に移動したい希望を告げると

今ちょうど空いているとのことで

移動したいならばすぐ出来ますよと、言われた。

それならば!と、すぐに大部屋を見に行くことにした。

大部屋は6床ベットがあった。

空いているベットはちょうど窓際で眺めも良い。

母は気に入ったようだった。


「よかったわ!窓際が空いているし

すぐにでも移動したいなぁ~」


「そうなの?でも・・・本当に大丈夫?」

「なに心配しているのよ!大丈夫だから

心配することないって!」


いつになく強気な母。

私は心配で堪らなかったが

母が余りにも張り切っているので

強く反対することは出来なかった。


すぐに看護師さんに移動することを伝えて

荷物の整理をして大部屋に移ることにした。

移動が一段落してから同室の患者さんに挨拶をして

一息ついたときに母が言った。

「今日はもう帰りなさい。

お母さんもここにいたら心細くないから、付き添いはしばらくいいからね。

あとMも少しの間、家に帰りなさい。」


「うん・・・でも本当に本当に大丈夫?」

「も~しつこいわね。大丈夫だって!」

「そう・・・じゃあ今日は帰るけど・・・」

「そう!早く帰りなさい。じゃあね」

母に追い立てられるように病室を後にして

ナースステーションに寄り看護師さんに何かあったら

すぐに連絡をくれるように言ってから

私は病院を後にした。



それから4、5日母の体調も変化することなく

心配していた副作用も余り無かったので

私は2ヶ月ぶりに自宅へ帰ることにした。

新幹線に乗って最初に夫の実家へ行き

見てもらっていた子供と久しぶりに再会して

次の日に自宅へ子供と帰った。

夫も仕事が休みだったので

本当に久しぶりに家族4人揃った。


やっぱり家族が揃うと、ホッとする。

子供達も小さいながらこの環境に戸惑いを見せていたが

自宅に戻ってからは、安心したのか

のびのびと遊んでいて、とても嬉しそうだった。


今まではこの生活が当たり前で

そしてこの生活が私にとって一番の幸せだなんて気がつかなかったが

離れて暮らしてみて、初めて家族の大切さ

当たり前の生活が出来る幸せ・・・

そんなことに気づかされた。









だがその生活も

長く続くことは無かった・・・・





花第13話へ