今回は、速いパッセージが
弾けるようになる練習法を
ご紹介したいと思います。
ジャズピアノの音源を聴いたことのある方は、
「プロのピアニストはなぜこんなに速いパッ
セージを弾きこなすことができるのだろう…」
「これが超絶技巧…」
と思わされるような
めくるめくプレイングを
耳にしたことがあるでしょう。
ジャズピアノの世界においては、
「指が速く回る」ということが
演奏者としての愉しみでもあり、
誇りでもあると同時に、
音楽的な可能性を広げるのに
とても重要なことになってきます。
指が速く回るようになれば、
より速いテンポの曲が弾ける
ようになり、
中程度のテンポの曲や
バラード曲においても
アドリブソロのバリエーションが
ぐっと広がります。
さて、一般に「超絶技巧」などと
いわれるような素早いパッセージを
弾くことは、
実は、一部の天才にだけ
許された天賦の才能という
わけではありません。
適切に練習さえすれば、
だれでも手に入れることが
できるのです。
誰かをあっと驚かせるような
テクニックを手に入れるのに
必要なのは、
生まれつきの才能や
親の経済力などではなく、
「練習さえすれば手に
入れることができる」
という強い信念なのです。
これを念頭に置いて、
これからの記事を読んでください。
本題に入りましょう。
今回は素早いパッセージを
弾けるようになる練習法のうち、
最も基本的かつ最強の練習法を
ご紹介します。
スケール(音階)練習で速いパッセージを練習する
音階練習を今まで
さわったことがあるでしょうか。
ハノンなら、練習番号39番に
すべての長調と短調(2種類)の
音階練習が収録されています。
練習素材としてはこれで十分です。
音階練習をすることは音階の知識を
つけるという本来の目的のためにも
非常に重要ですが、
今回はそれと合わせて、
実践(アドリブソロ)で
使えるテクニックを
養ってしまいましょう。
手順は簡単。
- まず、各調のスケール(全部は多いと感じるなら、
長調だけでも構いません)を
そんなに速くないテンポ(BPM=70〜80程度)
で弾けるように練習する
- 徐々にテンポを上げていき、
BPM=150程度で弾けることを
目標に地道に練習する
BPM=150で16分音符がそつなく
弾けるということは、
BPM=150の曲(スウィング、ラテン等)で
16分音符を使用したフレーズが使える
ということですし、
BPM=300の曲で8分音符のフレーズが
弾けるようになるということです。
もちろん、テンポを崩さずに
弾くという段になると、
別の筋肉が必要になってきますが、
少なくとも「動かそうと思えば動く」
指が手に入るのです。
欲を言えば、BPM=400程度で
まずまずのソロが弾けるようになれば、
もはやプロ級と言っていいでしょう。
しかし、いきなりそんな高い壁を
目指す必要はありません。
少しずつ、速く動く指を
手に入れていけば良いのです。
「これくらいのテンポなら指が回る」という
自信が付くと、アドリブソロにおいても
「もっといろんなアプローチを試してみよう」
というモチベーションにつながります。
つまり、もっと音楽に積極的に
関わっていけるのです。
このことはジャズに限らず
どんなジャンルの音楽においても
非常に重要な事です。
そして、積極的に音楽をしようとする
姿勢は間違いなく一緒に演奏している
他のメンバーにも伝わりますし、
セッションが一気に有意義に、
楽しくなることは間違いありません。
音階練習をひたすらやることは
地道な作業ですが、
その先には間違いなく
有意義な音楽ライフが待っているのです。
今すぐ、音階練習のページを開いて、
忘れないように付箋を貼ってください。
そして、今日から練習を始めてください!