昨日の朝日新聞、11面オピニオン欄に、沖縄の食品会社万鐘の小山社長さんの投稿がありました。

首都圏の電力需給不均衡を解消するには、首都圏の人口を減らすべし。民間企業の積極的な首都脱出を提言しております。

インターネットの発達、地方でも(場所により、ですが)交通インフラの充実した場所もあり、首都圏に本社、事務部門を置く必要はない事業内容の企業はたくさん、あるはず。

米国をみれば、地方都市に本社を置く大企業はたくさんある。日本でもできるはず!とあります。

確かに米国は、カリフォルニアのIT企業、ワシントン州には ナイキやボーイング、スタバ、マクロソフトも?

ジョージアにはコカコーラ、CNN、アーカンソーにはウォルマート、テキサスには石油関係や航空会社、

縁のあるミネソタ州にも、穀物商社のカーギルや 食品大手のジェネラルミルズ、ディスカウントストアのターゲット、まだまだ切りがないほど、例をあげられるでしょう。


一方で、今は自分も地方都市新潟で、新潟では大企業、(全国的には中堅)の本社で働く身としては、複雑です。東京にもオフィスがあり、社長以下、多数の人が、何かと言えば東京出張をしています。

自分も家族を横浜に置いての単身赴任だけに、東京出張があるとラッキー!という感じがあります。

先日は、新潟から全国へ、そして世界へ、と成長している、ハイエンド向けアウトドアグッズ製造販売の、スノーピーク社の山井社長の講演を聞く機会がありました。

同社は新潟の三条に本社があります。このたび本社を移転、同時に隣接する広大な土地(たしか5万坪)にキャンプ場をオープンし、そこで年何回か、全国、そして海外からも、スノーピーク愛好者の集まるキャンプイベントを開催するのだそうです。

まだ売上40億円ほどの同社ですが、上記のような地方本社の米国企業に近い雰囲気はあるかもしれません。

このように地方発祥の企業が本社をそこに置いたまま成長の例は日本にもあります。

それでも、徐々に、部分的にせよ、本社機能を東京に移すような企業が多いです。

ましてや、その反対に、本社を東京から地方へ移す企業というのは、ほとんど聞いたことがありません。


日産自動車が本社を銀座から横浜に移転、パナソニックが何々事業部を大阪から滋賀へ移転、なんて事例はあります。そういうケースでも、職場環境は改善しているのかもしれませんが、通勤する先がずいぶんと変わった社員の方の中には、元の場所に通いやすい場所に家を買っていたので、今度は通勤がたいへんだ~、という人も多いのではないでしょうか。


以前に読んだある本では、日本の50年後は、東京は引き続き反映、一方地方は限られた都市部に人口集中し、多くの町や村は消滅し、原野になっている可能性がある、という予想をしておりました。(何も策を講じなければ、というワーストシナリオの場合ですが)。

今回の震災を受けての、福島、宮城、岩手の沿岸地域は、一足先にそんな状況になってしまう可能性もあります。


以前にREITビジネスを展開する不動産業の経営者のお話を聞いて記憶に残るのは、「日本の最大の資産は東京だ」という言葉。確かに東京は、すごい場所だと思います。それでも、その魅力も、香港、上海、シンガポール、ソウルなどに追い上げられ、いずれ、クアラルンプールやバンコク、ジャカルタなどにも迫られるかもしれません。都市の機能・魅力だけでは、すでに香港やシンガポールに負けているのかも。金融やほか、部分的な機能では確実に。 それでも、東京・日本の強みは、さらに数十~数百キロ圏にも、いくつもの個性ある都市・自然・文化がある点かもしれません。

(これが香港だと、飛行機で4時間圏内にアジアのほとんどの大都市があるという次元の違うアピールになります)

日本は、東京は、もう少し広域的な視野で、機能分散ネットワークを作るべきかもしれません。

農林水産省は新潟に移転して、食料関係の企業はみんな新潟に本社を、

通産省は名古屋へ、観光関係は官庁も飛行機会社も沖縄へ、外務省は福岡へ。

これは分散しすぎでしょうか。

高速でクルマで3~4時間、新幹線で1時間~90分くらいならいいんじゃないでしょうか。

あとは、地方にもいい学校、特長、強みのある大学、色々な文化・芸能もほしいですね。


新潟と横浜・東京を行き来しながら、そんなことをつらつら考えております。