機関投資家の運用スタイルが、カントリーアプローチから、セクターアプローチへの移行していく、というのは数年前から言われていることです。
株式市場・国ごとに分かれた運用体制から、市場・国に関係なく、産業セクターごとに運用体制を構築し、特定セクター、たとえば自動車担当なら世界中の自動車を評価、比較して投資する、ということ。
その流れが徐々に進むのと日本に機関投資家においても日本株チーム/担当でなく産業別の担当として、その中の日本株も見るということになります。 一方、日本市場の相対的な地位低下という要因が相まって、カントリーアプローチにおいても、アジア地域の株の中のひとつとして日本株を見るということになります。
両方の要因から、機関投資家において日本株だけを見るという人が少なくなっているようです。
先日伺ったお話では、日本の大手生保系のAM会社でも、これまでの日本株担当マネージャーが日本から日本株+アジア株も見ることになったそうです。
こういう流れに絡んで、機関投資家の運用成果のベンチマークも、日本株だけを対象としたインデックスから、日本株を含むインデックスへとシフトしていくようです。
TOPIX→ラッセル野村(日本株インデックスですが、米ドル換算指数あり)→世界的な指数MSCIへ、という流れなのだそうです。 こういうシフトの中で、日本の機関投資家は、長らくTOPIXを基準にやってきた運用を世界的なベンチマークに切り替えてやっていくにあたり、外資系に比較して厳しい戦いである、というお話も聞きました。
日本の機関投資家もたいへんなのです。海外の機関投資家は合併/統合でますます強大化している面もあります。
そういう中では、日本の日系の機関投資家も、運用拠点を香港、シンガポールにでも移して、外国人マネジャーをどんどん採用するか、ということになりそうで、日本人マネージャーも大変、ということになりそうです。
この点、国内航空会社のパイロットなどにも通じるものがあるでしょうか。
一方で、インデックスに組み入れられる上場事業会社はどうか。世界的などんなインデックスにも入るような大企業はいいでしょうが、中堅中小、何か特徴あるビジネス、という企業は、それこそ香港/シンガポールにでも上場するほうが、投資家の目に留まりやすくなる、という時代かもしれません。