総会はあまり大きな話題もなく終了していく様子。

総会シーズンに先立って発行された企業統治研究会報告書を、読み直し中 (本編は非常に短いものですが)。

社外役員の独立性について、という項において、

「大切なのは、企業統治の実効性の確保と、市場で株式を売買する一般株主の利益と衝突しない独立性の確保の関係である。・・・二つの価値の間には、トレードオフが認められる・・・」

実効性の観点では、企業価値増大に大きなモチベーションを持つ大株主から来る取締役がよい。一方、独立性の観点、少数株主の利益を犠牲に大株主の利益を優先するリスクがある。

この議論は、2年くらい前に商事法務において、ある弁護士の方が、「米国の議論ではエージェンシー問題は2つあるというのが主流。二番目のエージェンシー問題がこれだ」、と書いていました。

1番目のエージェンシー問題は、取締役が株主利益を最優先に働かず自己の利益を優先すること。これを抑制するには大株主を代表する取締役が入ると良い。しかし、大株主が少数株主をないがしろにする問題が出ると2番目のエージェンシー問題発生。これはトレードオフの関係である、としていました。

久しぶりに、このトレードオフ議論を聞きました。