商事法務1868(6/15)の巻末コラム「スクランブル」では、アデランスの迷走を「婚活」に例えているのが、なかなか面白いです。アデランスは昨年の総会以降、スティールの意向もあり、資本・業務提携先を必死に探しているがなかなか、見つからない、見つかっても両親親戚一同の賛同が得られないとしています。


この号では、石塚洋之弁護士による 西武鉄道関連の裁判についてのレポート「西武鉄道株主損害賠償請求訴訟東京高裁判決の検討〔上〕」、それに東証元調査役の宇都宮氏の"上場制度整備懇談会「安心して投資できる市場環境等の整備に向けて」の概要”も 面白い内容です。


日本の証券市場の課題は何か? 色々意見はありますが、最近の色々な立場の方の意見をざっと見ますと、

内外機関投資家からは、取締役会の構造、独立した社外取締役を置くことが強く求められています。

一方、最近の取引所である東証のレポート等では、第三者割当増資の制限など、少数一般株主の利益保護を重要な課題としています。

買収防衛策については、機関投資家の反対はあるものの、既に企業側で廃止など見直しの動きが出ており、その方向で進んでいく流れにあるのでないでしょうか。そのせいか、これを今改めて声高に批判する動きは少ないようです。

増資や防衛策は、ともに取締役会の決定する、一つの施策なので、結局取締役会の構成を良いものにすれば、いずれも、一般株主の利益を踏まえた上で判断されることになるのかもしれません。


他に、以前にやはり商事法務掲載の太田洋弁護士のレポートをご紹介しましたが、金融機関側の倫理、金融機関が一般株主の利益を損なうような行為をすること(上場会社に提案すること)を、許さない、厳しく監視、罰することも重要でないかと思います。