よく耳にするが中身をわかっていないこと、は結構たくさんあります。
投資関連では、ソブリン・ファンド、外国の政府系ファンド。これもよく聞くが中身はよく知りませんでした。
「政府系ファンド」(野村総合研究所、谷山智彦、福田隆之、古賀千尋、日経BP社)。
これは非常に整理して、わかりやすく解説してあります。
政府系ファンドを資金源泉(=投資目的にもなる)に応じて、3タイプに分類しています。
1.コモディティ(資源)の輸出代金を運用しているもの。これは自己資金の運用。
2.外貨準備高の運用。これは借金したお金の運用。
3.年金積立金の運用。これも預かっているお金の運用に近い。
1はコモディティ原資運用は、商品価格で大きくぶれる収入を安定化するため、いずれ資源が枯渇することに備えて、将来の運用益による収益源を確保するため、自国に資源以外の産業育成を行うのに貢献する先へ投資、などの目的で行う。 中東、ロシアなど
2は輸出により経常収支黒字の国の政府が、国内で国債等の借入で調達した母国通貨資金で、ドルなど外貨を買い支えた結果積み上がる外貨準備高の運用。母国通貨高を抑えるために行われます。 借入原資であり利払いがある。さらに中期的には母国通貨高になる中で、外貨保有高には含み損が発生。 この利払いと為替レートによる損失をカバーするだけの運用益が求められる。
日本、中国、シンガポール
3は将来の国民に対する年金給付のため、年金支給スケジュールに合わせた運用を行う。
オーストラリア、アイルランド
ソブリンファンドというと、中東1のイメージが強かったですが、2のようなファンドもあるのですね。金利と為替による損失をカバーするために、本来かなり高いリターンが求められるというも知りませんでした。中国CICは歴史は浅いものの、かなりリスクを取った資金配分をしているようです。
日本の準備高運用は米国国債主体。日本での調達金利は上回るものの、長期的なドル安による含み損をカバーするだけのリターンはなさそうです。