パナソニックによる金融3社からの三洋電機(優先)株式取得が合意!

3社は優先株を普通株式に転換後、パナソニックの実施するTOBに応募するということです。これで7割超を取得することになるそうです。

1株700円で引き受けた優先株が10株の普通株に転換されますので、1株70円での普通株取得。

昨日の終値は143円です。この株価に大幅な希薄が完全に織り込み済みかどうか。織り込み済みとして、TOB価格は131円と時価を下回ります。ディスカウントTOB.7割超の取得なので全部買付義務があると思いますが、ディスカウントなので応じるのは3社のみと見込んで、それならば完全子会社化とはならず上場も維持される、という見通しなのでしょう。GSの言うような価格だと、TOBに応じる人が増えて上場廃止だったかもしれません。


また商事法務からですが、最新1852号にカネボウ控訴審判決の解説があります。

このケースでは、ファンドが再生機構およびカネボウ化粧品から議決権のある劣後株を1株201円で相対で取得。その後普通株式を162円でTOBで取得しました。個人株主からこのTOB価格への異議、裁判所による買取価格決定申立て、その結果362円という新たな価格が裁判所から出ています。それ以外に、少数からの相対の劣後株式取得も普通株式同様にTOBするべきである、という東京高裁決定が出ています。

その影響もあり、今回は相対優先株取得でなく、普通株転換後のTOBになった側面もあるのでしょう。


ここ数年、優先株によるファイナンスは増えています。株式市場低迷で時価総額が大きく低迷する中で、ある程度まとまった資金を出してもらうには、優先株の出番となります。ほとんどが将来の普通株への転換請求権付です。その転換価格を、決定時の普通株の株価と比較すると、まだ大丈夫!という会社は10%までのディスカウント。かなり厳しいとなると大幅ディスカウント。ただし、どちらも総会で株主の承認を得ています。優先株の引き受け手からすると、会社の状況が厳しい場合であれば、会社存続・上場維持のために、既存株主には希薄化による経済的な負担をしてもらわないと・・・という理屈になります。


今回の商事法務では、巻末でアーバンコーポレーションとBNPパリバの件にも触れています。これもなかなか面白いですよ。