朝の列車に揺られながら待ち合わせ場所へと向かうワタシ。
とりあえず、最低限の身支度だけをして来た。
Aの中の誰かは、涙声だった。
何があったのかはわからないが、緊急事態なのは確かだ。
ほぼ小走りで、待ち合わせで有名な某広場に向かう。
そこにはAの姿があった。
アイスを食べながらメールをしてやがりました。
いや、別にいいんだけど。
朝早いからお腹空いてるんだろうな。うん。
でもなんかさっきとテンション違くない?
「A?」
Aは振り向いた。ものすごく気まずそうな顔だった。
途端、Aの体が崩れ落ち、アイスが床に落ちた。
朝から濃いもん食っとるのぅ。いや、それどころじゃない。
「A!」
こういうときは、揺さぶってはいけない。
とりあえず力の抜けた体を横向きに寝かせる。
こういうのは私も経験したことがある。
多分、解離性障害のナントカっていう奴だ。
放っておけば目を覚ますはずだ。
一分一秒が、妙に長く感じられる。
ワタシを助けてくれる人も、こんな気持ちなんだろうか。
そんなことを思いながら、Aが意識を取り戻すのを待つことにした。
緊張していない訳でもなかったので、失礼して煙草を吸わせてもらった。
すると、意識を失っていたAがむせた。
一瞬の、微妙な間。居心地が悪い。何かアクションしてくれ!
「…ここは…?」
頭を抑えながら、ゆらりと起き上がるA。
「…君は………もしかして無頼猫?」
もしかしなくても無頼猫です。あなたに呼び出された無頼猫です。
「僕はA3…はじめまして…だね?」
「A2は緊張に耐えられなかったみたいだ…」
そんなに煙たかったですかスイマセン。
いや、気まずかったのか。A2という人だったのかあれは。
次々に飛び出す新しい名前に、ついて行けないワタシ。
多分読んでる人もついて行けないだろう。
次回から、A一族に名前をつけて、名前表記にすることにしよう。