「ずっと吐いています。」と来院された
もうすぐ13才になるダックスの男の仔。
一昨日、ストッキングを飲み込んだのを
目撃したという。
いつもは元気に診察室を歩きまわるのに
目がうつろで、じっとしている。
もしかしたら出るかと思い様子を見ていたが
昨日からずっと吐いているとのこと。
早速レントゲン、血液検査を実施。
レントゲンでは胃の出口あたり(幽門部)に
白い影が認められた。
(ストッキングはレントゲンが透過してしまう)
また、だいぶ吐いていたのか、血液検査では
重度の脱水が認められた。
異物による物理的閉塞の可能性が高いため
すぐにオペを行う必要があることをご説明し
飼い主様は同意された。
真っ先に点滴を始め、オペの準備に取りかかる。
そしてオペを始めた。
臍の上部から約17、8cm皮膚を切皮し、
腹膜を開け、腹膜直下の脂肪組織をよけ
慎重に臓器を手で分けながら胃を探す。
すぐに胃の一部がみえた。
優しく上方に引き上げ、幽門部をチェック。
すると幽門部すぐ下部の十二指腸が棒状に
膨らみ、触るとやや硬い。
あきらかに異常である。
しかもその異常は、空腸に向かって続いている。
これに間違いない。
幸い腸の色はやや充血しているものの、紫色に
変色してはいなかった。(壊死してはいない)
十二指腸の血管の少ない部位を選び、約2.5cm
メスで切開した。
すると切開部位から、こげ茶色の異物が顔を出した。
引き上げた。
細い巣穴に入っている蛇を、ゆっくりと
引き出しているかのような感じであった。
このまま全てを引き出せるかと思いきや、
空腸側で抵抗を感じた。
再度引き上げようと力を加えるが、
引っかかっているようで出てこない。
無理に引っ張ると、最悪腸が避けてしまう
危険がある。
ストッキングを誤食してしまったケースは
何度か経験しておりますが
自然に出たケースは、まずありません。
まず手の届かないところに置いていただくことが
先決です。
万一誤食した場合は、直ちに病院を受診してください。




