僕の記憶の片隅に
色のぼやけたフィルムがあった
原型を止めていないその記憶は
なぜか
片隅に残っていた
本来
なにかわからなくなった記憶は
いらない記憶として処理され
消去する作業に入る
だが、
このフィルムは残っていた
答えは簡単だった
「大切な」記憶だったからだ
色のぼやけた大切な記憶
そうなると「大切」って意味がわからなくなっていく
大切だけど
重要なものではない
重要じゃないけど
大切だから消去されない
思い出そうとしても
思い出せない
思い出したくないから
思い出せない?
気づけば
周りにはあやふやな記憶ばかりだった
自分で
自分という色で塗り固めた
誰かに話したって
食い違いがあってうまく伝わらない
相手の記憶が正しいのか
自分の記憶が正しいのか
どっちも間違いなのか
よく考えると「記憶」自体が
自分が
自分の主観だけで
勝手に作ったものなのかもしれない
コンピューターは「記録」する
人間は「記憶」する
正確さなんていらない
自分が勝手に作って構わない
その色が好きで
頭の中に残すんだ
好きなだ け作ればいい
記憶ってそういうもんだろ
自分の色がわかる
唯一無二の宝だろ