うららかな、初夏と言っていもいいような、春の午前
淡かった影が力強さを身に付けはじめている
葉桜がさわさわと風に遊び、若いスズメが巣立ちの特訓をしている
仕事が終わり、のんびり大きな公園の脇を歩いて家に向かっていた
公園の入り口から揃いの体操着を着た10代後半の一団が、前と後ろをジャージを着て笛を持った男女に先導されて出て来た
おそらく知的障害者の一団だろう
健常者と呼ばれる人々が失ってしまった、いかにも楽しそうな、天真爛漫な笑顔で、春の中をぐいぐいと行進している
公園の反対側の横断歩道から、弱視だろうと思われる、50歳前後のカップルが道を渡ってきた
二人とも帽子を被り、色の濃いサングラスをかけ、白杖で道路を探っている
女性の方が先に渡りきり、公園の中に進んでいった
男性はまだ道路を渡りきっていない
いやな予感が走った
若者は男性の事がまるで見えていない
男性の方も気付いていないようだ
止めようと思う間もなく、若者の一人と男性の方が激しくぶつかった
おおっ
どうなることかと事の行方を見守っていると、弱視の男性はバランスを取り戻し、ぶつかった若者に一歩にじり寄りつつ
かなりの勢いでガンをくれ始めた
若者の方はおびえている、が、かなりの勢いで謝る気配はない
引率のヘルパーさんが、かなりの勢いで謝りはじめた
片手で若者をかばいながら「すいません!! すいません!!!」
俺はなにかあったら止めようと、あまり勢いはないが傍に立っている
のんびりした春の東京の片隅
男性はガンをくれ
若者はあやまらず
ヘルパーさんは必死に謝り
胡散臭い俺が傍にぼーっと立って 「あぁ、ビデオカメラ持ってくればよかった」 と思っている
さぁ、誰が悪者