何年も前かも忘れたが、
「生き急いでいる」
そんな指摘をされた。
生き急ぐつもりはない。
物事を吸収して、追いつかないといけない必死さが、そう見えたのかもしれない。
学もない、知恵もない、文章は、はっきり言って借り物だ。
文章の書き方は、これでも下の下の外れの方。
同じ人間なのに、記憶を失う前の文章が遥かに上だ。
記憶を失う前の文章を真似して書いているだけ、今でも簡単な言葉が浮かばない。
その度に、頭を殴りながら書いている。
辛さを分かって貰おうとは、考えていない。
記憶を失った、その当時のことは未だに思い出せない。
作品を書いていた頃の私が、未だに思い出せない。
私には、小説しかない。
小説には、恩義がある。
その恩は小説で返す、それだけだ。
下手だけど、下手なりに進まないと。
記憶を失ってから約二十年かけて、やっと少しずつ書けるようになった。
ゼロベースから、表現をやり直す。
必死で足掻くよ。
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