とうとうコウノドリの最終回でした。
四宮先生のこととか、たくさん書きたいことがありますが…ニヤリ

心に残った「オランダへようこそ」の詩について書きたいと思います。

新出生前診断によって、お腹の子がダウン症だと診断され、産むことに決めた夫婦に紹介された詩 


障がいをもった子どもを育てる親御さんを励ます詩だと思うけれど、子育てしている全員を励ます詩だなと思いました。いや、人生すべてに当てはまることだと思いました。


私たちは「イタリアに行きたい」と期待しているが、大なり小なり希望は叶わないことがある。着いた場所は「オランダ」だったり、「シンガポール」だったり、「ブラジル」だったりする。ちょっとジャングルのようなスリルを味わうかもしれないし、ものすごく寒いけれどオーロラの名所かもしれない。


思っていた場所とちょっと違かった。
どんな親にもあると思います。きっとこれからもあるはず。

他の人が理想の地に行っているのが、心底羨ましく、妬ましく思う日が来るかもしれない。


けれど、けれど、そこは私とこどもにとって、最高の旅行先だと知っていることは、なんて幸せなことなんだろう


この詩を、コウノドリ最終回では、お母さんと小松さんが順番に読んでいきます。順番に読んでいくところに、脚本家?監督?の気持ちが込められてるなと思いました。お母さんはひとりじゃない。

ひとりなんだけど、ひとりじゃない。
そう教えてくれる最終回でした。





"Welcome To Holland "
by Emily Perl Kingsley

「オランダへようこそ」
翻訳 佐橋由利衣(「+Happy しあわせのたね」より)

私はよく「障がいのある子を育てるのってどんな感じ?」と、聞かれることがあります。

そんな時私は、障がい児を育てるというユニークな経験をしたことがない人でも、それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。

赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。例えば、旅先はイタリア。

山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。
コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。

簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。
とてもワクワクします。

そして、何ヵ月も待ち望んだその日がついにやってきます。
荷物を詰め込んで、いよいよ出発。

数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。
そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。

「オランダへようこそ!」

「オランダ⁉︎」

「オランダってどういうこと⁇私は、イタリア行の手続きをし、イタリアにいるはずなのに。ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに」

でも、飛行計画は変更になり、飛行機はオランダに着陸したのです。
あなたは、ここにいなくてはなりません。

ここで大切なことは、飢えや病気だらけの、こわくてよごれた嫌な場所に連れてこられたわけではないということ。

ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。

だから、あなたは新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。
それから、今まで知らなかった新しいことばを覚えないとね。

そうすればきっと、これまで会ったことのない人たちとの新しい出会いがあるはず。

ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。

イタリアよりもゆったりとした時間が流れ、イタリアのような華やかさはないかもしれない。

でも、しばらくそこにいて、呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、

オランダには風車があり、チューリップが咲き、
レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。

でも、まわりの人たちは、イタリアに行ったりきたりしています。

そして、そこで過ごす時間がどれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。

きっと、あなたはこの先ずっと「私も、イタリアに行くはずだった。そのつもりだったのに。」と、いうのでしょう。

心の痛みは決して、決して、消えることはありません。
だって、失った夢はあまりに大きすぎるから。

でも、イタリアに行けなかったことをいつまでも嘆いていたら、オランダならではの素晴らしさ、オランダにこそある愛しいものを、

心から楽しむことはないでしょう。


Welcome To Holland 
by Emily Perl Kingsley

I am often asked to describe the experience of raising a child with a disability -- to try to help people who have not shared that unique experience to understand it, to imagine how it would feel. It's like this.

When you're going to have a baby, it's like planning a fabulous vacation trip -- to Italy. You buy a bunch of guidebooks and make your wonderful plans. The Coliseum, Michelangelo's David, the gondolas in Venice. You may learn some handy phrases in Italian. It's all very exciting.

After months of eager anticipation, the day finally arrives. You pack your bags and off you go. Several hours later, the plane lands. The stewardess comes in and says, "Welcome to Holland".

"Holland?" you say. "What do you mean, Holland? I signed up for Italy! I'm supposed to be in Italy. All my life I've dreamed of going to Italy."

But there's been a change in the flight plan. They've landed in Holland and there you must stay. The important thing is that they haven't taken you to a horrible, disgusting, filthy place, full of pestilence, famine and disease. It's just a different place.

So you must go out and buy new guidebooks. And you must learn a whole new language. And you will meet a whole new group of people you would never have met. It's just a different place. It's slower paced than Italy, less flashy than Italy. But after you've been there for a while and you catch your breath, you look around, and you begin to notice that Holland has windmills, Holland has tulips, Holland even has Rembrandts.

But everyone you know is busy coming and going from Italy, and they're all bragging about what a wonderful time they had there. And for the rest of your life, you will say, "Yes, that's where I was supposed to go. That's what I planned."

The pain of that will never, ever go away, because the loss of that dream is a very significant loss. But if you spend your life mourning that fact that you didn't get to Italy, you may never be free to enjoy the very special, the very lovely things about Holland.