イルミネーションの光が目立ちだした。
鮮やかな色。
12月が近づいた。
クリスマスだ。
サンタさんはどこにいるのだろうか。
小さい頃、サンタさんにお手紙を書いて、クリスマスの日に枕元にプレゼントが置いてあるのを楽しみにいている人も多かっただろう。
私も、クリスマスに近づくと、いい子にしてた。
「セーラームーンの人形がほしい」、と手紙を書いたのも覚えている。
手紙を書いてからは、掃除・洗濯などの家事を手伝い、手洗いうがいを必ずした。
サンタさんに風邪なんか移してはいけないと思って。
私は、クリスマスを楽しみに待った。
そして、クリスマス当日、私は枕元をみた。
サンタさんは来てなかった。
誰かに風邪でも移されたのだろうか…。
もしかしたら、私の寝相が悪くて違うところにプレゼントを置いているかもしれない。
すぐさま、母のもとに行った。
「サンタさんからのプレゼントは!?」
母は、すっと自分の部屋に戻った。
「(あ、なんだ。間違ってお母さんところにプレゼント置いちゃったんだ。おっちょこちょいだな、サンタさん☆)」
しかし、母はプレゼントじゃなく自分のカバンを持ってきた。
「(あれ?あ、そうか。サンタさんは間違って、カバンにいれちゃったんだ!おっちょこちょいだな、サンタさん☆)」
それも、違った。
母は、カバンから財布を取り出すと、私に五千円札を渡した。
「これで買えるでしょ?」
「・・・・。」
なにも言えなかった。
私は、五千円札握り締め、デパートに行き、セーラームーンの人形をゲットした。
母は現実的だ。
幼い私に、早くも社会のなりゆきを教えてくれた。
働いたらお金がもらえるってことを。
クリスマスまでの家事は、私の初めての職歴となった。