「ねえ、父さん。雪虫って知ってる?小さくて、ふわふわっ、ふわふわって飛んでるんだ。ゴミみたいな感じだね。雪虫を見ると、その日は雪が降るっていうけど、それはうそ!だって、私が見たのは夏だもん」
娘の舞紀の言葉を思い出した。
初めて見る雪虫は、たばこの灰が浮いているような、不思議な感じだ。娘の言う通り、ふわふわ飛んでいる。
雪虫は強烈な朝日に照らされ、私の指に止まった。
小さい命を燃やすように、しがみ付いているように見える。
再び飛んで行く白い灰は、私が目で追うたびに空高く舞って行く。
「舞紀…」いつも、私を気づかってくれる、優しい娘だった。
だが、今はいない。10年前、舞紀が高校生の時、ストーカーに殺された。私はその時、仕事が忙しくて、ろくに娘の話を聞いてやれなかった。警察には行ったが、警察は事が起きる前には何も出来ない。
私が殺したようなものだ、守ってあげられなかった。何も出来なかった。だから、今、やる。
今日はあいつの出所の日、10年待った。10年、やつを殺るためだけに生きてきた。全てはこの日のために。
あの顔だ。10年分の疲れはあるが、間違い無い。
やつは入口…出口で挨拶をして歩き出した。どこへ向かうつもりだ?私は遠くからついて行く。舗装の新しい道に出た。やつはバス停に立っている。私は遠くから見ている。
バスが来た。乗り遅れるわけにはいかない、小走りでバス停まで進む。やつは目の前にいる。ここで殺る事も出来るが…まあいい、まだ早い。
ドアが開く。やつは乗り、私も電子マネーをかざした。
「お客さん、どこまで?」運転手は私を見ている。
「どこまで?」
「行き先、言ってくんないと、金、落とせないんだけど…」
そういう事か、やつは小銭を入れてたな、いくら入れた…これはまずいぞ…どうする?
「しゅ…終点まで」運転手は不思議そうな顔で私を見ている。何だ、いったい何だ?まずいこと言ったか?客は、私とやつを入れて5人、もちろんみんな私を見ている。さりげなく時の経過を待つしかない。
私はやつから離れた席に座った。ポケットでナイフを握っている、準備は出来た。
しかし、まずいぞ…終点だなんて言って、やつにも聞かれてるはずだ。やつと一緒に降りるのは、どうだ?何か手はないか?
《ビ~!》ブザーが鳴った。誰か降りるぞ⁈
バスが止まった。てか、みんな降りる…どうする?10年の歳月を無駄にするのか?どうする?
「間違えた!ここで降ります!」勝手に体が動いた、ドアが閉まる寸前、降りる事が出来た。
やつはどこだ?大丈夫だ背中が見えた。遠くからゆっくり追いかける、やつは角を左に曲がった。私もその角を曲がった。いない⁈消えている!周りを見渡すが、誰もいない。おかしい…ここに隠れる場所は無いぞ…
娘の舞紀の言葉を思い出した。
初めて見る雪虫は、たばこの灰が浮いているような、不思議な感じだ。娘の言う通り、ふわふわ飛んでいる。
雪虫は強烈な朝日に照らされ、私の指に止まった。
小さい命を燃やすように、しがみ付いているように見える。
再び飛んで行く白い灰は、私が目で追うたびに空高く舞って行く。
「舞紀…」いつも、私を気づかってくれる、優しい娘だった。
だが、今はいない。10年前、舞紀が高校生の時、ストーカーに殺された。私はその時、仕事が忙しくて、ろくに娘の話を聞いてやれなかった。警察には行ったが、警察は事が起きる前には何も出来ない。
私が殺したようなものだ、守ってあげられなかった。何も出来なかった。だから、今、やる。
今日はあいつの出所の日、10年待った。10年、やつを殺るためだけに生きてきた。全てはこの日のために。
あの顔だ。10年分の疲れはあるが、間違い無い。
やつは入口…出口で挨拶をして歩き出した。どこへ向かうつもりだ?私は遠くからついて行く。舗装の新しい道に出た。やつはバス停に立っている。私は遠くから見ている。
バスが来た。乗り遅れるわけにはいかない、小走りでバス停まで進む。やつは目の前にいる。ここで殺る事も出来るが…まあいい、まだ早い。
ドアが開く。やつは乗り、私も電子マネーをかざした。
「お客さん、どこまで?」運転手は私を見ている。
「どこまで?」
「行き先、言ってくんないと、金、落とせないんだけど…」
そういう事か、やつは小銭を入れてたな、いくら入れた…これはまずいぞ…どうする?
「しゅ…終点まで」運転手は不思議そうな顔で私を見ている。何だ、いったい何だ?まずいこと言ったか?客は、私とやつを入れて5人、もちろんみんな私を見ている。さりげなく時の経過を待つしかない。
私はやつから離れた席に座った。ポケットでナイフを握っている、準備は出来た。
しかし、まずいぞ…終点だなんて言って、やつにも聞かれてるはずだ。やつと一緒に降りるのは、どうだ?何か手はないか?
《ビ~!》ブザーが鳴った。誰か降りるぞ⁈
バスが止まった。てか、みんな降りる…どうする?10年の歳月を無駄にするのか?どうする?
「間違えた!ここで降ります!」勝手に体が動いた、ドアが閉まる寸前、降りる事が出来た。
やつはどこだ?大丈夫だ背中が見えた。遠くからゆっくり追いかける、やつは角を左に曲がった。私もその角を曲がった。いない⁈消えている!周りを見渡すが、誰もいない。おかしい…ここに隠れる場所は無いぞ…