Ulcerate/Vermis | Uguisu's Valley

Uguisu's Valley

買ったCDの感想・レビュー(と少々の雑記。。)を自分が忘れないために書き留めるブログです。

Release:2013/09/17 Country:New Zealand
Genre:Black/Technical Death Metal
score 90/100

$Uguisu's Valley

ニュージーランドのブラック/テクニカルデスメタルバンドの4枚目のアルバム。

1. Odium
2. Vermis  ★おすすめ!!
3. Clutching Revulsion
4. Weight of Emptiness
5. Confronting Entropy
6. Fall to Opprobrium
7. The Imperious Weak
8. Cessation
9. Await Rescission

ニュージーランド産の音楽ってのもそういえばあまり聴いた記憶がないが、今回紹介するニュージーランドはオークランド出身のUlcerateというバンド、激しいメタルが好きであれば覚えておいたほうがよいだろう。

自分はこの度初めてこのバンドを知ったわけだけど、調べてもそこまでプロフィールらしいプロフィールは出てこないのね。
とりあえずわかったのは、Ulcerateは3ピースのデスメタルバンドであり、2000年の結成以降3枚のフルレングスアルバムをリリース。そして、2013年に4枚目のフルレングスアルバムとなる本作「Vermis」のリリースとなったそうな。
過去作の評判も中々よろしい模様で、これぞ知る人ぞ知る隠れた良バンドってとこなのかしら。

本作は、アトモスフェリックな暗黒の鼓動と、超速で激走するテクニカルデスが混ざったカオティックな音楽性。
超速過ぎる上に先が読めないというテクニカルデスな部分は、よいテクニカルデスらしく緊張感と衝撃が交錯している。なんでこんなことができるんだろうってぐらいバシバシと乱打のコンボが決まっていく様は凄まじいもの有り。
が、こういったバンドは他にもいる。故に今や絶対的な強みにはならないわけだが、ではなぜUlcerateは良いのか。これは前述した、アトモスフェリックな暗黒の鼓動の部分が関係してくる。
主に暗黒な部分は静かな、静的なパートで超速テクニカルデスの息抜き程度に使われていると思ったらこれは大間違い。実は静的なパートで醸し出した暗黒の鼓動は、超速パートでも空気として生き続け、その暗黒を吸った超速演奏は、さながら凶気に満ちたブラックホールのような形となる。
この一連の流れの凄まじさ、禍々しさは、Deathspell Omegaにも通ずるものがあり、形式こそ違えど、恐ろしく悍ましいサウンドを響き渡らせている。

雰囲気・演奏が上手に噛み合った結果生まれた傑作ではなかろうか。ひとえに暗黒といえど、互いの相乗効果によって増幅させられた暗黒というのは、いつ聴いても恐れ慄くものがある。しかしそれがいい。
いき過ぎたテクニカルデスにありがちなメカメカしい感じもなく、演奏1つ1つから感情と鼓動を感じさせてくれるの素晴らしいし、本当に粗らしい粗がなかった。いや、いちおう最後まで似たような楽曲が続くので、そこんとこは人によってダレるポイントかもしれんな。自分は大丈夫だったけど。

個人的に凄く気に入った1枚。構築において美しさも感じるし、良いところは探したらキリがない作品だ。
恐るべし、ニュージーランド!!