今週のもう一本!「フェラーリ」(23年) | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

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週刊プロレスモバイル連載「週モバロードショー~映画とプロレス~」延長戦!

『沈黙―サイレンスー』(16年)でマーティン・スコセッシ、『パターソン』(16年)でジム・ジャームッシュ、『最後の決闘裁判』(21年)『ハウス・オブ・グッチ』(21年)でリドリー・スコット。世界の名だたる巨匠と組んできたアダム・ドライヴァー。そのたびにグレードをアップさせ、こんどは『ヒート』(95年)『ALI アリ』(01年)のマイケル・マンとのタッグで『ハウス・オブ・グッチ』のマウリツィオ・グッチにつづき再びイタリア人になりきってみせた。『フェラーリ』でアダム・ドライヴァーが演じるのはフェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリだ。元カーレーサーで、カーデザイナー。スーパーカーのイメージを確立させた彼にはさまざまな顔があった。傾きかけている会社の業績を回復させるためレースに臨み、私生活では二股をかける。『フェラーリ』はレース映画というよりは、人間エンツォ・フェラーリに重きを置いており、アダム・ドライヴァーが迫真の演技を見せている。この役を演じるにはもはや彼しか考えられない。まるで重厚なオペラを観ているような感覚に陥った。そして、マイケル・マンとのタッグでさらにもう一段階グレードをアップさせたのである。

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