「家出レスラー」出演の向後桃 “バイブル”の映画化で岩谷麻優映画の重要な役を演じる! | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

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©映画『家出レスラー』製作委員会©World Wonder Ring STARDOM

 

“スターダムのアイコン”岩谷麻優の半生を描く『家出レスラー』にスターダムの向後桃が重要な役で出演している。岩谷にあこがれ、スターダムに参戦後は岩谷のユニットSTARSに加入。現役レスラーながらも映画のオーディションには、一般応募と同じ条件で参加した。そして勝ち取ったGM役のポジション。そんな向後に話を聞いた。

――向後選手はオーディションに応募して『家出レスラー』への出演が決まりました。プロレスラーの向後選手が応募した理由は?

「それは、私が岩谷麻優自伝本にとても勇気づけられた一人だからです。もうあれは、私のバイブルです!」

――スターダムに来る前からですよね。

「もちろんです。スターダムに来る前に、試合がなくて本当に心が折れそうな時期があったんですよ。試合どころか練習もできなかった気もします。そんななにもできないときに、ひたすら外を走ったりとか、外で筋トレしたりとか。そんな心折れそうなときにあの本を読んで、いまこれだけすごい岩谷選手もつらい時期を乗り越えてのいまがあるんだと思うとすごく勇気づけられて。泣きながら何度もあの本を読んでいましたね(笑)」

――縁あってスターダムに来ることになりましたが、岩谷選手の半生が映画になると知ったときはどう思いましたか。

「どんな形でもいいから絶対に関わりたいと思いました」

――そこでオーディションがあると知り、応募するしかないと。

「ハイ、そうです」

――当然、岩谷麻優を演じるつもりで応募したんですよね。

「もっちろん、ですね(笑)。自分にとってオーディションが久々だったのと、それ以上に麻優さんの映画オーディションということで、すごく思い入れのあるものに対して挑んだので、自己紹介で足が震えてました」

――レスラーとしてリングに立っているにもかかわらず?

「そうですね。(審査員の)麻優さんも『コモモ大丈夫?』みたいな感じになってて。そのときは監督と麻優さんもいて、お芝居しているときは平気だったんですけど、その前に自己紹介があったんですよ。そのときは、足が(生まれたばかりの)小鹿ちゃんでした(笑)。明らかに震えてるのがわかるくらいだったみたいで」

――岩谷麻優役ではありませんでしたが、風香GMをモチーフにしたであろう役を獲得しました。

「そうですね。メチャクチャうれしかったです。こんなにすごい素敵や役をいただけるなんて思ってなかったので、ホントにうれしかったです」

――主要キャストのひとりですよね。クレジットには主演の平井杏奈さんにつづき、2番目に向後選手の名前が出てきます。

「そうなんですよ。出てるシーンの多さやセリフの多さが、主役の次くらいだったんじゃないかなと思います。ありがたいことです」

――実際に向後選手が来たときには、風香さんはすでにスターダムにはいなかったですよね。

「そうですね。いなかったです」

――演じるにあたってはどうでしたか?

「実際の人物を知るわけではないのでDVDとかかき集めてYouTubeも探して、いまの風香さんに近いものよりもなるべく古いのを探して、本人を見て研究するようにしました。あとはどういう人だったのか、いろんな人に話も聞きましたね」

――向後選手は以前からスターダムのファンでしたよね。これまでの知識というか、オタク度が役立ったのでは?

「そうですね。すごい役立ったと思います」

――難しかったところは?

「マユと2人で試合を見ながら話すシーンがあるんですけど、そのシーンがすごく感情溢れるものにしたかったので、そこがすごい難しかったですね」

――向後選手演じる流華はGMで、指導する立場。プロレスシーンはなかったですよね。

「ハイ。ただ、プロレス練習はずっと一緒にしてました。レスラーを演じる役者の人のためのプロレス練習です」

――同じ映画に出るからプロレスに対する気持ちを共有しようということですか。

「そうですね。なので、エンドロールにふたつ名前があってうれしかったです。プロレス監修のところに名前があって、私、それ知らなかったんですよね」

――キャストも2番目に出てきてビックリした。

「私もビックリしました。台本頂いたときに名前が2番目だったので、すごーいテンション上がりました(笑)」

――もしも岩谷選手の役をやっていたらどうなったと思いますか。

「いやあ、でも平井杏奈さんという本当に素晴らしい役者さんが演じてくれたので、自分を含めてほかの人が麻優さんの役をやるところが想像つかないです。平井さんのマユさんがメチャクチャよかったです」

――本編を観て、あらためていかがでしたか。

「編集された本編を観ると、撮影していた現場とは全然違いますね。それに大きなスクリーンで観ると迫力が全然違うなと思いました。やっぱり、映画館で観たいですよね!」