みちプロ宇宙大戦争「悪魔のせい」から『ぜんぶ、ぼくのせい』 | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

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週刊プロレスモバイル連載「週モバロードショー~映画とプロレス~」延長戦!

 今年の壮絶だった「宇宙大戦争」!

 

 12・15後楽園ホールで開催された、みちのくプロレス年末恒例の「宇宙大戦争」。戦後77年の今年は17年連続17回目の開催で「17」がラッキーナンバーのようになっていたが、実際、選手たちがリングに揃い、いよいよ大戦争が始まろうとしたところがちょうど8時17分だったから驚いた。ここに”マスター”ザ・グレート・サスケの奇跡を感じずにはいられない。もちろん、今年の宇宙大戦争も期待に違わぬ大スペクタクルバトルになっていた。

 毎回映画ネタ満載で期待のタイトル。ところが今年は、「宇宙大戦争17ぜんぶ、ぼくのせい」という、まさかのシンル化。たとえば、2019年が「宇宙大戦争14~小さな恋のロケットマンタロウのバカと雪の女王:ニューフェイトLAST BLOOD~」で、一昨年が「宇宙大戦争15~異端のテネット・マン完結DJリー太郎バスターズ全裸インディ・ジョーンズ/ロビンvsコング~今週の日経読んだ?」、昨年が「~サスケ、イン、マイマインくれなずめシグナル長期未解決事件捜査班レミニセンス怪獣使いと少年vs.コングMINAMATAドライブ・マイ・カー賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット太田反省会4Kリマスター版TOKYO2020悪魔のせいなら、無罪。~」と、ここ数年、まるで宇宙が膨張するかのように長くなっていっただけに、一気のシンプルはインパクト絶大。「悪魔のせいなら、無罪。」から、「ぜんぶ、ぼくのせい」(サスケが感銘を受けたらしい日本映画)とひとりで責任を負ってしまったマスター・サスケのネーミングセンスも絶妙だった。

 それでいて、試合は全責任を背負ったサスケとプリティ太田の5分以上にもおよぶシングルバトルから宇宙全体を巻き込むパノラマバトルに発展。最後はひとりでではなく、全員の協力からラダーを首にかけたサスケがセントーンアトミコを放ち、和棺ごとブラザームーンを粉砕、ぼくのせいから全員の協力により、見事に宇宙の平和を守ったのだった。そこに今回の感動があったと言えるだろう(「ロッキーvsドラゴ:ロッキーⅣ」を思わせるクリス・ドラゴもポイントが高い)。

 ちなみに、今年はまったく別の意味での感動もあった。セミファイナルの6人タッグマッチで闘ったフジタ“Jr”ハヤトである。ガンとの闘いから今年7月、(一時復帰を挟み)5年ぶりにカムバック。復帰後はじめてライブで試合を見たのだが、一発一発の打撃からリングで闘う喜び、生きる喜びが伝わってきたのだ。そんなハヤトも楽しみにしていた宇宙大戦争。「今年で終わり」と言うけれど、来年はみちのく旗揚げ30周年。30をラッキーナンバーに、なにかが起こるのではなかろうか?