渕正信インタビュー 入場テーマ曲“「トップガン」デンジャー・ゾーン”のお話 | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

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 全日本プロレス渕正信の入場テーマ曲と言えば、ケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」である。この曲は映画『トップガン』(86年)の主題曲としてあまりにも有名。と同時に、プロレス界では渕の入場テーマ曲として完全に認知されている。あのイントロがかかった瞬間、条件反射的に渕の姿が思い浮かぶのだ。「デンジャー・ゾーン」と『トップガン』について、渕に話を聞いてみた。

「あの曲はねえ、僕がベルトを取ったときくらいから使い始めたんじゃないかな。映画の公開が86年の年末でしょ。僕は87年に(小林邦昭から)世界ジュニアヘビー級王座のベルトを取ったんですよ。確か、仲田龍リングアナウンサーが選曲したんじゃないかな。悪役商会のテーマを「必殺仕事人」にしたのも、彼だった。彼が楽しんで選手の入場テーマ曲を選んでましたよ。

 それにしても、なにをイメージして『デンジャー・ゾーン』を選んだんだろう? 映画『トップガン』を映画館で観ていたので、あの曲は知ってました。なので、なんであの曲なのって聞いたら、仲田リングアナは『だってカッコいいじゃないですか!?』って言うんですよ。でも、僕には合わないでしょ。だって、あの映画みたいな空中戦をやる選手じゃない。ベルトは取ったけど、タイガーマスクみたいに跳んだり跳ねたりあんまりしない、どっちかというとグラウンド中心の試合だったからね。

 だから、照れくさい部分がありましたよ。入場のときは、照れくさかったなあ(笑)。まあ、いまではもうあの頃の照れくささはないけど、ファンのみなさんに定着しているなら、ありがたいことですよ。うれしいですよね。

 入場の前って心地よい緊張感があって、あの曲がかかるとより気合いが入るというのはやっぱりありますね。いまではとても愛着のある曲だから、街中でかかったりしてると、なんだかうれしくもなりますよ。

 これからも使い続ける? そうですね。でも途中から演歌調に(アレンジ)したらどうだろう? 僕が唄うの? こぶしをきかせたデンジャー・ゾーン? いやいや、唄うのはつらいなあ(笑)。

 あの映画って、いろんな曲があるじゃない。「デンジャー・ゾーン」以外にもベルリンの「愛は吐息のように」とかね。何曲もヒットしたよね。あの映画が映画音楽の歴史を変えた? なるほど、そうなんだ。それはすごいなあ。

うちの母親が映画好きでね、それに影響されて僕もいろいろ観るようになったんですよ。トム・クルーズだったら『ミッション:インポッシブル』(96年)も好きだしね、いろいろ観にいきましたよ。デンゼル・ワシントンとかトム・ハンクスとかもお気に入りの俳優だね。あの頃よく見た俳優の人たちがいまも活躍しているのはうれしいよね。トム・クルーズがまた主演で『トップガン』の続編ができたんでしょ。『トップガン マーヴェリック』(21年)っていうんだ。すごいなあ、35年前の話の続編をやるなんて。コロナ禍で遅れているみたいだけど、公開が始まったら必ず観にいきますよ(笑)」