Daniel Pinkdの著書<A Whole new mind>を見ると来る新しい時代には感性が未来を率いると話しています。その中でも一番に感性を表現するのがデザインだと表していますね。それかアジアから始まると言ったからその文脈から中国の進出戦略を考えて見ると......
皆さんは、「金歯デザイン(gold teeth design)」という言葉をご存知ですか。中国の派手な消費に合わせて、デザインをできる限り豪華にする、中国のデザイン業界の特徴を表す表現です。実際の品質や価格が、高級化志向に当てはまるかどうかに関係なく、見た目を重視してデザインすることを金歯に例えています。きょうは、製造部門だけではなく、デザイン部門でも世界の中心に浮上している中国のデザイン産業についてお話したいと思います。
中国は、わずか10年前の90年代半ばまでは、デザインにおいて不毛の地に近い国でした。当時、慢性的な供給不足が次第に解消され、供給過剰の時代を迎え、コストの削減が競争力の中心に台頭していました。これは、中国の地元企業をはじめ、程度の差はありますが、中国に進出した外資系企業も同様でした。
中国で販売する大半の製品は、中国と海外市場で販売されている製品、あるいは、販売済みの製品のデザインをそのまま取り入れていました。そのため、中国の消費者のために、中国にデザインセンターを設立するケースは、ほとんどありませんでした。仮に、中国にデザインセンターを設立したとしても、デザインの専門人材を確保することは容易ではありませんでした。
現在は、北京大学、清華大学など全国の大学、約400校のデザイン学科から毎年約1万人のデザイナーが輩出されていますが、5年前は、1500人余りに過ぎませんでした。経済成長に伴う所得の向上、20年にわたる先進企業の製品の流入によって、中国の消費者の目が肥えて、デザインが重視されるようになりました。
多国籍企業も中国市場向けの製品開発の必要性を認識し、現地のデザインセンターの設立に積極的に乗り出しています。例えば、モトローラ、ノキア、ソニー、ゼネラル・モーターズ、フォルクスワーゲンなどが相次いで中国にデザインセンターを設立しました。特に、高級化志向の中国の消費者の特性に合わせて、高級化がデザインのコアな要素になっています。 例えば、フォルクスワーゲンは、ドイツでは使用しない人工木材を中国向けの自動車に使っています。
ドイツの消費者は、人工木材に抵抗感を示すのですが、中国の消費者には、高級感があると歓迎されるからです。周りの人に経済力を見せ付けるために、何ともない歯を抜いて、金歯にするのと同じような理屈です。これは、「金歯デザイン」が、中国のデザイン界で重視される理由でもあります。
ゼネラル・モーターズは、2002年以降、中国のデザインチームの人材を3倍も増やし、80人に増員しています。デザイナーは、主に「金歯デザイン」を手がけています。実際に、アメリカでシボレー・ベンチャー(Chevrolet Venture)と呼ばれている普及型のミニバンが、中国では内装が一新され、華やかなフロントグリルとヘッドライトを装着したBuick GL8(ビュイックGL8)という重役用の自動車として販売されています。一方、ソニーも中国の若者が持っている「父親世代のブランド」というマイナスのイメージを払拭させるために、2005年8月に、上海でデザインセンターを設立し、高級感がありながらもシャープなデザインの開発に主力しています。
中国企業の多くは、先進製品の模倣にとどまっていますが、レノボ(Lenovo)やハイアール(Haier)など一部のリーダ企業は、デザインの開発に力を入れています。レノボは、2002年以降、デザインチームを2倍ほど増やし、80人を抱えています。そして、MP3プレイヤーとカメラ、電話の機能が組み込まれた独自のスマートフォンでIDEA賞を受賞しました。電池が熱くなったら香りが出る携帯電話も大きな成功をおさめました。ハイアールも独自のデザインで、中国企業の中では珍しい、ハイエンドブランドのイメージを構築しています。
一方、韓国企業の中国向けデザイン製品の現実は、どうでしょうか。非常に不十分な状況だと言えます。まず、韓国企業の中で中国にデザインセンターを設置している企業は、ごく少数に過ぎません。しかも、機能を果たしていないのが現状です。製品のデザインは、依然として韓国や先進国で行われているのです。
もちろん、今すぐ中国の事業に大きな影響を与えることはありませんが、中国の消費者のデザインへのニーズが日増しに高まっているので、中国事業におけるデザインの影響力は、非常に大きくなると予想されます。「金歯デザイン」など中国の消費者の特性を踏まえたデザイン製品とそうでない製品の勝敗を予測することは、難しくないと思われます。
<中国攻略の新解法「デザイン」
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