ウォーム・ボディーズ | いい映画を観よう!α

ウォーム・ボディーズ

久しぶりの映画レビュー投稿。は、スターバックスでユースベリーというさわやかなお茶を飲みながら、ゾンビの出てくる映画を・・・。

といってもホラーではなくどちらかと言えばヒューマンドラマ。それがウォーム・ボディーズ(2013/サミット)。

時代は何らかの理由で人類のほとんどがゾンビ化し、どこに行くともなくさまよい続けている。その一人は主人公ゾンビR。名前が思い出せないそうで、いかんせんゾンビだから。そんな彼がゾンビの習性のごとく人間の脳を食べるとその人の記憶がフラッシュバックしハイになるのだそうな。
そんな彼にはその人の恋愛風景が浮かんでいた。
一方、生き残った人間はシェルターを作って日々外界のパトをしながら物資を集めていた。そんな中の一人がジュリーという女性。
空港でさまよっているRが彼女を見つけてゾンビにおそわれそうになっている彼女を安全な場所にかくまう。人喰のはずのゾンビがですよ!
なんとジュリーは先に出てきた脳を食らった男の恋人だった。Rにはその記憶がまざまざと蘇り、守ったのです。
全く違う二人の間には当然隔たりはありましたが、徐々に心を開く(?)様になり、いい雰囲気になっていくのです。

さてその先は?はい。ハッピーエンドなんですが、この映画単純に人間とゾンビとの恋物語にとどまらず結構深いのです。
というのはまずその1。
「全く違う二人=人種の隔たり?」
これはよく比較されるのです。ここには人種だけでなく立場の違い、ともいえるでしょう。というのもこの物語、原作の小説(日本でもヒット)かのシェークスピア「ロミオとジュリエット」がベースになっているんだとか。

そしてその2。
「可能不可能に絶対はない」
この映画には大きく二つのストーリーがあります。ひとつはこの二人の物語。
もう一つは、ゾンビたちがいきる喜びとときめきを見いだすこと。そしてゾンビと生存者は相容れないとゾンビ「せん滅」を実行するグループも、ゾンビにも心があり、生者である証拠の現象を発見し、これまでの絶対敵対、理解不可能と思われていた固定観念を捨て、ゾンビとの共生の道を探り出す。ゾンビももう一度人間に近づくべくがんばってみようというお互いの変化がある。というもの。

もちろんなぜゾンビがしゃべる?ゾンビがときめく?生き残った人間は元凶のウイルスに感染しない?ゾンビが希望と誇りを持つの?などつっこみどころは満載です。が、人間同士の間では軋轢しか生まれない様々なテーマをゾンビという非日常的な世界に持ち込み、最後はほっこりしてしまうという優作にまとめ上げたこの作品。なかなかユニークな映画でした。
若干少女マンガチックでもありますが、そのへんはご愛敬。このたぐいの映画はどうしてもねえ、しょうがないんですね。
実際多くの若い女性がこの映画でR君にキュンとしたらしいですよ。

さて最後にもう一つ見どころ、というか聴きどころ。挿入歌が最高にいい!このR君。ゾンビなのにレコードは「音が繊細」なんて愛聴しているんです。というのもあって古くはロイ・オービソンからガンズやスプリングスティーンまで、数々の名曲が死者の陰鬱な世界と対照的に明るい未来を彩ってくれています。洋楽ファンにも見てほしいウォーム・ボディーズ。
何となく見たんですが面白かったですねー。