私は、これまでいくつかの結婚式場で、フリーランスでムービーの撮影や編集をやってきました。

今は一線を退いていますが、ネットなどで、花嫁さんが「結婚式を挙げたけど、○○で後悔した・・・」などという記事をいくつか見て「これではいけない!」「結婚式場の裏方スタッフとして活動してきた自分だからこそ書けるブログがある!」という想いで、このブログを書き始めることにしました。

私のブログで結婚式場の現実を知り、少しでも「知恵」「知識」を見に付けてもらうことで、これから結婚式を挙げる新郎新婦様には、絶対に後悔しない素敵な結婚式を挙げてもらいたいと思います。

 

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私は結婚式場の提携している映像会社のスタッフとして、「エンドロール」(撮って出しとも言い、披露宴の最後にBGMにのせて上映するムービー)や、「記録ムービー」(約2時間の撮りっぱなしの映像)の撮影や、エンドロール&記録ムービーの編集をやってきました。

(※結婚式場のスタッフではなく、映像会社のスタッフです。どこの結婚式場も映像会社と提携しており、土日の結婚式がある日に映像会社が式場に来て、撮影・編集を行っています)

この業界で仕事をするようになり最初に感じたことは、「これ、ぼったくりでしょ」です。
自分がこの業界に入る前に趣味で動画編集をやっていたのですが、初めてエンドロールの映像を見た時は
「こんなので新郎新婦さんは20万円も払っているのか!!?」と驚愕しました。
これなら少し練習すれば誰でも出来るのではないかと思ってしまったのです。
しかし、ウェディング映像業界の構造について理解していくと、こんな現状もやむ得ないかとすら考えるようになりました。

というのは、ウェディング業界は、映像や写真の会社、その他式場に出入りしている様々な業者と提携しておりまして、
各業者から提携料として、新郎新婦が式場に支払う売値の3割~5割くらいマージンとして抜いているのです。
(中には、それとは別に「保証料」「テナント料」という名目で何千万円もの金額を最初に納めさせている式場もあります)
しかし、式場はそのマージンの利益分の何をしているかと言ったら、「何もしてない」のが現実です。
何もせずに5割のマージンが入ってくるって、式場からしたらおいしいですよね。

例えば5割のマージン料をとられる式場ですと、新郎新婦様の売値が20万円のエンドロールに対して、映像業者の利益が10万円、式場の利益が10万円です。
映像業者は社員で撮影・編集を担当する場合はいいのですが、社員だけではまわせないことが多いので、フリーランスの委託カメラマン・編集者に撮影・編集を依頼をしていることが
多いです。
そして映像業者はその利益10万円から、委託カメラマンや編集者に対してのギャラが支払われます。
支払った残りは、事務所経費や機材経費など利益配分されるのです。
なので、映像業者としてみたら、委託カメラマンや編集者のギャラは出来るだけ低くしたいのです。
そうすると、割の良いバイト感覚で責任感も向上意識も低いカメラマンや編集者が現場に行くことになってしまうわけです。数回現場で練習して、すぐデビューさせてしまうこともしばしば。
(もちろん、腕が良いカメラマンや編集者は、他の人よりは高めのギャラの人もいますが、この仕事の責任度や労力を考えるとそれでも少ないです。また、映像業者は低いギャラのカメラマン・編集者を優先的に発注することが多いです)

このような現状なので「これ、ぼったくりでしょ」という感想が心の中で出てきてしまうような、しょーもない映像商品が出来上がってしまうわけです。
これは写真業者にも言えることです。
結局、結婚式場や映像・写真業者の利益のために、新郎新婦様がぼったくり被害にあっているのです。
しかし多くの新郎新婦様は初めての結婚式だと思うので、商品の優劣の判断がつきにくいということもあり、式場も映像業者も「この程度でいい」というスタンスなのです。
また、映像業者は式場と提携しているので競合がない為(式場によっては2社以上入っている場合もあります)、商品のクオリティを上げる努力もしなければ、
式場側もクオリティに対して映像業者に注文つけることは少ないです。

私はこの業界に入って現実に驚愕したものの、仕事が好きだったのとせっかく高い金額を支払ってまで頼んでもらった新郎新婦さんの為に、ギャラが安くても常に120%の力で仕事に取り組んできました。
中には私のような志のフリーランス、社員もいると思います。
ただ、それはほんの一握りだというのが現実なのです。